2016年04月01日

連載小説「龍の道」 第174回




第174回  SURVIVAL (6)



「ヒロタカ!─────無事だったのね、よかった!!」

 ヘレンが今にも泣きそうな顔をして、ベッドのそばに来て抱きついた。

「ありがとう、見舞いに来てもらうほどの事じゃないんだけどね」

 デッキチェアのように、斜めにベッドを起こして靠(もた)れ、悠々と窓の雪景色を眺めながら朝の珈琲を飲んでいた宏隆は、まるで週末の神戸の自宅で寛いでいるような、のんびりした顔をしている。

「また暢気なことを言って・・凍えた川に落ちて、心臓マヒで死ぬところだったクセに!」

「あはは、まあ、ちょっとしたアセティシズム(苦行)のようなものだね」

「まったくもう!、それほど大変な目に遭って、どうしてそんなに平然としていられるのかしら?、ドクターは最低でも2週間の安静が必要だと言ってるわよ」

「もう平気だよ、まだ検査が残ってるんで、仕方なくこんな所に居るけれど」

「やれやれ・・この際、ついでに色々と診て貰うといいわよ。その頑固なアタマの中も、じっくり検査して貰ったらどう?」

「ははは、確かに─────だけど、病院のベッドでノンビリしている場合じゃない。こんな事までされちゃぁ、流石にもう黙ってはいられない」

「一緒に居れば、少し何かの対応ができたかもしれなかったけど。残念なことに、私は学年が違うので、同じ訓練に出られることは滅多にないから・・」

「いや、あれは誰も何もできないよ─────あのとき、川を渡る前から、誰かに観られているような気がしたんだ。どこか高い所から、ずっと誰かに監視されているような、そんな感じがして、イヤな予感がしていた」

「やっぱり、今までと同じように、キャンベル曹長とヤンの仕業なのかしら?」

「かもしれない。だけど、ぼくの命を狙うんだったら、こんな手の込んだ嫌がらせをせず、もっと手っ取り早い方法がいくらでもあるはずだが」

「だったら、どうしてそうしないのか、というところが疑問ね・・」

「そうだ、わざと生殺しにして喜んでいるような、そんな悪意さえ感じられる」

「いつか、パパが来て話してくれた時には、おそらくヒロタカの身に起こっていることは、 False Flag Operations(フォールス・フラッグ・オペレーション= ”偽の旗” 作戦)だと言っていたわ」

「ぼくもずっとその事を考えていた。もしそうなら、ぼくをターゲットにしている奴らが、この一連の事件が北朝鮮絡みだと、そう思わせたい理由は一体何だろうか、ってね」

「こうなるともう、嫌がらせのレベルを超えて殺人未遂事件になるわね。そして、もし北朝鮮が動いているのでなければ、他に雇い主がいるということね」

「そう、キャンベル曹長やヤンも、彼らの依頼人が北朝鮮だと思い込まされているだけなのかもしれない、という話だったが・・」

「それについては、父が詳しく調査を始めているはずよ。ヒロタカのお父様とも情報交換すると言っていたし。お父様のビジネスでも ”日中国交正常化” 以来、不可解な事が多く起こっていると言うしね」

「つまり、個人をどうしようという話ではなく、政治がらみ、経済がらみ、という事かな。日本の資産家を巻き込んだ計画だと、あのとき言ってたね・・・そうそう、経済について、ヘレンから教えてもらうと良いとヴィルヌーヴ中佐に言われてたんだっけ」

「憶えていたのね。そう、それもただの経済学ではなくて、世界を動かしているファイナンシング(Financing=金融・財政学)についてよ!」

「金融、つまり ”お金の流れ” か・・ぼくの苦手な分野だな」

「世界を知るには、それが必要ね────────世界の歴史は、必ずしも国家単位で動いているものでは無いから。私たちは、教科書に書かれている通りに世界の歴史を観てしまっているけれど、じつは国家単位の意向の絡み合いで世界史が作られてきたわけではないのよ」

「ふぅん、世界の歴史とお金の流れが、何か関係があるってワケ?」

「関係があるどころじゃないわ、国家を運営するにも、戦争をするにも、莫大な資金が必要でしょ。その資金をどこから調達したか、誰が何のために出資したのか・・それを探っていかなくては、本当の歴史は見えてこないのよ」

「へぇー、そんな話、初めて聞いたなぁ・・」

「まったく、ほんとに暢気なんだから。これだからプレッピー(preppy=おぼっちゃま)は駄目ねぇ!」

「ムッ・・だって、武術修行に明け暮れる青春を送ってきたんだから、経済なんか学んでる暇なんかないよ。特に今なんか、経済学部でも文学部でもないのはモチロン、体育学部ですらない、言わば ”軍事学部” なんだから、なおさらだね」

「あはは、ただケンカに明け暮れてたんじゃないの?、まあ、これから学べばいいから安心しなさいよ─────そもそも、歴史というのはすべて、”金融=お金の流れ” で作られてきたと言えるのよ」

「むむぅ・・ケーザイ門外漢の初心者には、ちと分かりやすく言って欲しいな」

「たとえば、不思議なことに、世界中の正統派と言われる政治学者や歴史学者は、歴史の中の ”カネの流れ=金融” について、誰ひとりと言って良いほど詳しい研究をしていない。
 彼らが金融について学んでいない理由は、世界史研究において非常に重要なポイントとなる金融の側面について書かれた専門書が、この世にほとんど存在していないからなのよ」

「ふむ。確かにそれは不思議だな・・でも、どうして?」

「理由はとてもシンプルよ。本を出版するにもお金が要るでしょ、そのお金はどこから出てくるのか?・・それに、どれほど素晴らしい研究であっても、出版社がその内容を認めてくれなければ出版されることもない─────」

「・・と言うことはつまり、世界史における ”金融の側面” を書かれては不都合な人間たちがいて、その人たちが出版の可否を左右するような力まで持っているってこと?」

「ふむ、金銭オンチのプレッピーにしては物分かりが良いわね。それに、金融面について、本に書かれて困るのは、当然ながら金融関係の人間だってコトよ」

「でも、金融界が政治を動かしているなんて、ちょっと考えにくいな。そもそも人間って、そんなにお金を第一に考える動物なんだろうか?」

「人間が元々そうなのじゃなくって、ごく一部の人間がそうなのよ」

「むぅ・・・」

「分かりやすい例を挙げましょうか。ヒロタカは戦争はどうして起こると思う?」

「そりゃぁ、国家間の利害得失が原因でしょ。ドイツの国益とイギリスの国益が衝突すれば両国で争いが起こるのは当り前だし、戦争は国家の利益の衝突で起こるに決まってるよ」

「それは一般人のごく常識的な回答、普通の人は皆そう信じ込まされてきているわね」

「それじゃ、どうやって戦争が起こるっていうの?」

「確かに国益が衝突して戦争が起こることもあるわ。けれど、常にそうとは限らない。
 実際に、近代に起こった戦争は国家間の対立軸だけでは解けないものがたくさんあって、国益絡みではなく、戦争を起こすことで莫大な利益を得る者たちによって、巧みに国同士がコントロールされて起っているものがほとんどなのよ」

「それじゃ戦争は、誰かの思惑によって、誘導されて起こってきた、と?」

「そのとおり。教科書的な世界史観を持っていると、どうしても見落としてしまう重要なものがあるのよ」

「その重要なものって、いったい何なの?」

「この世界には ”国家意識” を持たない人たちが居る、ということ。そして、その人たちは非常に金融の操作に優れていて、自分たちが莫大な利益と絶大な権力を得るために、金融という手段を使って巧みに国際社会を操り、すべてを支配しようとしているのよ」

「ええっ、そんなことが?・・本当にそんなことがあるの?」

「残念ながら、もうだいぶ以前から着々とその力をつけてどんどん成長してきているわね。大小の戦争の度に、彼らは富と力をどんどん増やしてきた─────」

「おいおい・・それって小説か漫画か、007に出てくる悪の秘密組織スペクターみたいに、ちょっと怪しげな ”陰謀論” の世界の話みたいに聞こえるけど?」

「その ”陰謀論” という言葉自体も、戦争を起こしては利益を得てきた人間によって創られたものと言えるわね。何でも陰謀論にしてしまえば、誰もそれを真実だとは思わないから、むしろ好都合─────UFO、ロズウェル、宇宙人、アポロ計画、ケネディ暗殺、世界恐慌、ニクソンショック、et cetera・・・」

「うーん・・」

「そうそう、007のスペクターの首領プロフェルドだって、イアンフレミングの原作では、株取引で大儲けした資金で独自のスパイ組織をつくり、第二次大戦中は連合国と枢軸国の両陣営に情報を得ることで大成功し、世界征服を企む大犯罪組織を作り上げたということね。
 まるでどこかに、そのモデルが居るような書き方だけど───────ともかく問題は、誰が戦争を望み、誰が戦争によって利益を得てきたか、ということ。陰謀論として笑い飛ばすには、世界の現状は余りにも、それで解けるリアリティー(真実性)に満ちているのよ」

「じゃ、数々の陰謀論も、リアリティだと?」

「そもそも ”陰謀論” という言葉の発信地はアメリカよ。それは、知的な人が取り合うべきものでない、巷間(ちまた)で面白おかしく取り沙汰される信憑性の乏しいもの、とされてきているけれど、元々は Conspiracy Theory(共同謀議理論)。正確には ”権力者の" 共同謀議理論というべきかな。
 その始まりは1963年、ケネディ大統領の暗殺をきっかけに、アメリカの民主政治が一部の権力者たちに操られているのではないか、という疑問から始まって、そのような考え方が徐々に広まっていったのよ。それがいつの間にか、取るに足らない興味本位の説と定義されてしまっているけどね」

「そんな人間たちが暗躍していると仮定して、それを証明することはできるの?」

「今はようやく、徐々にだけれど、それらが明らかに彼らの仕組んだものだと、証明できつつあるわ。世界中で、ようやくそれが本格的に研究され始めているの」

「たとえば、どんな・・?」

「日本も、このアメリカも、ヨーロッパも含めて、これまでに起こった大きな戦争は、愛国主義者、自国を想うナショナリストたちが引き起こしたとされているけれど、ちょっと視点を変えて、よくそれを観てみれば、第一次大戦の後には国際連盟ができ、第二次世界大戦の後には国際連合ができている。つまり大きな戦争の後には、必ず ”世界を統一” しようとするような動きが見られるのよ」

「・・世界を、統一する?」

「一昨年の1973年にも、今までのフランス、西ドイツ、イタリア、オランダ、ベルギー、ルクセンブルクの六カ国に加えて、イギリス、アイルランド、デンマークが欧州諸共同体に加盟したでしょ?、今後も加盟国はどんどん増えて、ヨーロッパの共同体はどんどん巨きくなって行くに違いないわ」

「それって、ヨーロッパの経済発展上、結構なことじゃないの?」

「ちょっと見はね─────欧州全体が寄り添って協力し合い、経済を復興して行こうとしているように見えるし、実際にそれ迄にはなかったメリットもたくさん在る。でも問題は、それらヨーロッパ各国の ”上” に、この共同体があるということ」

「共同体なんだから、そういうカタチになるのは仕方がないんじゃ・・?」

「各国の ”上位” にその共同体が位置するという事は、それによって各国の主権が制限され、加盟国には通貨の発給権も関税の自主設定権も無いということ。これが広がってより大きなムーブメントになれば、今後のヨーロッパには ”国境のない国際主義” という、新しい構図が生まれることになるのよ。そのうちきっと、通貨も統一されるようになるでしょうね」

「でも、国境がなくなって、誰もが平和に、貧富の差なく、安全快適に生活が出来るんだったら、それはとても結構なコトだと思えるけどな・・」

「失礼だけど、それはとても単純な人間の言うセリフね!」

「むっ・・なんだか、宗少尉みたいな言い方をするなぁ」

「まあ聴きなさい────その共同体では、いかに ”経済統合” を進めていくかが最重要課題となっているのよ。加盟国間における政策や法制度の違いが貿易の自由化を妨げ、国際市場での競争の障害となっているとして、欧州経済共同体での ”単一市場” を目指す構想が、すでに持ち上がっているの。単一市場には多くのメリットがあると言いたいワケね」

「タンイツシジョー・・?」

「国際通商市場には、共同市場(Common Market)と単一市場(Single Market)があって、共同市場は加盟国間の経済的な国境を取り除き、自由な貿易を認め、資本や労働など、生産要素の移動なども自由に認める・・というもの。
 共同市場をより発展させたものとする単一市場では、市場統合に必要な各国の法制の調和を図り、労働分担が進んだ結果、生産性が向上する。各国間接税の接近が達成され、加盟国内の中小零細企業の起業や融資の獲得、容易な市場参入制度、生産要素の移転の自由などが保障されたために、さらに生産性が向上する・・というものなの」

「むむぅ・・そういっぺんに専門用語をずらずら並べられると、本当に頭痛がしてくるな。でも、物事には必ずデメリットもあるはずだよね?」

「そのとおりよ。単一市場に移行すると国際的な競争が増加するので、そのために国内経済の様々な部門で悪影響が生じてくるわね。政府から市場の保護や補助金を受けて存続できていた企業は、加盟国内の業績の良い同業他社と、生き残りを懸けた競争を余儀なくされることになるわ。失敗すれば倒産して社員たちが失業し、より強い他国の企業が生き残ることになる、というワケ」

「うーん、入院検査中のアタマだと、意味不明、理解不能の内容が多いな・・病院のマズい珈琲を一杯飲んだくらいじゃ、とてもついていけない。凍えた川で泳ぐ方がよっぽど楽に思えてくる」

「それじゃ、ちょっと話題を変えましょうか────────」

「どんな話題?」

「ヒロタカの好きそうな、”暗殺” なんかどう?」

「どうしてボクが、暗殺を好きなんだよ!」

「はは、秘密結社のスパイなんだから、暗殺くらいでビビってたらモノにならないわよ!」

「ぼくはスパイじゃないってば!」

「それじゃ、話すのをやめる?」

「い、いや・・聴いてみたいけど」

「ほら、ごらんなさい、興味があるンじゃないの!」

「そりゃあ、この国は大統領が暗殺されるような物騒なところだからね、誰だって興味はありますよ。まあ日本でも、山田長政や坂本龍馬、伊藤博文なんかも暗殺されたけど」

「それじゃぁ、暗殺の話をしましょう────────まず、日本でもアメリカでも、どこの国でも ”中央銀行” というものがあって、通貨を発給しているわよね」

「あたり前田のクラッカーだよ。物々交換や石貨の時代から、通貨は価値の尺度や支払い、交換手段とか財や権力の蓄積に使われてきたんだから・・・でも、暗殺と銀行が、いったい何の関係があるっての?」

「クラッカー?・・まあ、最後まで話を聞いてよ。それじゃ各国の中央銀行は、誰が、何のために経営しているか知ってる?」

「誰って、そりゃ中央銀行ってのは ”通貨の番人” と言われるくらいだから、政府が管理してその国で使われる銀行券、つまり通貨や紙幣を発行している所に決まってるじゃないの」

「あはは、残念でした!、やっぱりケーザイにウトいお坊ちゃまは、勉強不足ねぇ〜」

「・・え、違うのかい?」

「世界中にある中央銀行のほとんどは、民間銀行か、民間の資金が入った銀行なのよ!」

「み、民間銀行─────?」

「そう、あなたの国の ”日本銀行(ニチギン)” は銀行法に基づく大蔵省所轄の認可法人で、公的資本と民間資本によって存立し、政府が資本の55%、残り45%を政府以外が出資して成立している。出資者には一般の株式に相当する出資証券が発行されているのよ」

「ああ、そう言えば・・かつて習ったような記憶が、かすかに・・・」

「でも、誰でも不思議に思うわよね。そもそも民間の中央銀行というものが必要なのか?、中央銀行が政府の銀行であって、何がいけないというのか?、これは世界七不思議のひとつに挙げるべき、大変なミステリーよ!!」

「えーっと・・たしか、政府が税収不足になると、国債を発行して借金をするよね」

「あら、そんなコトを知ってたの、偉いわね〜!」

「ば、馬鹿にすんなよ、ボクだってそんなに経済の成績は悪くなかったんだ」

「けれど、ニチギンの半分が民間出資だって、知らなかったわよネ!」

「くっ・・ちょっと忘れてただけだよ。ともかく、その場合、多額の国債発行はキケンだと議論されるのが普通なんだよね」

「そのとおりよ」

「でも、それがずっと疑問だったんだ。よく考えたら、政府が負債を解消するには、政府が通貨を印刷すれば良いだけの話じゃないのか、って思えるんだよ」

「すごいっ!、21世紀に通用する ”経済通” のスパイになれるわよ!」

「でも、そこで政府が通貨を発給すると、ハイパーインフレーションになってしまう、というのが経済界の常識らしい」

「もちろん、生産以上のお金を刷ったらインフレになるのは当り前。でも、生産性の範囲を超えずにお金を刷れば、反対に経済が活性化していくはずよ。その辺りを政府がきちんと見極めて、政府の信用で通貨を発給する、これが本来の、経済のあるべき姿でしょうね」

「けれども、僕たちは ”民間銀行” が発給した通貨を、公的なものだと思い込んで、なんの疑問もなく使っている─────」

「イザという時に政府が通貨を印刷できないようなシステムの中で、民間業者が独占的に発効した紙切れが流通して、それを国民がありがたく使っているのだから、常識的に考えるとおかしな話よね」

「アメリカでは、その辺りはどうなっているの?」

「アメリカでは、紙幣の発行は連邦政府が FRB(Federal Reserve Bank=連邦準備銀行)から借金をする形で行われているのよ。借金だから利子がつくわね。要するに、紙幣を発行するたびに、国民の税金から民間銀行に多額の利子が支払われるということ」

「国から利子を取る・・?」

「Federal(連邦)と名前が付いているから、つい国民は、連邦政府の機関であるかのようにイメージしてしまうけれど、 FRB(連邦準備銀行)の株式は民間金融機関が所有していて、連邦議会による監査なども一切行われていないのよ」

「アメリカ合衆国政府は、連邦準備銀行の株式を持っていないの?」

「政府は FRBの株式を一切所有していないわ。管轄される個別の金融機関が株式所有義務を負い、個人や非金融機関が株式を所有することもできない─────まあ、銀行は利子を取ることによって業務が成立するのだろうけれど、よくよく考えてみると、利子を付けるというのもおかしな話よね?」

「そうだね、国家のために作られた民間銀行が、国から利子を取るっていうのは、どういうコトなんだろうか?──────もともと通貨というのは物々交換から始まった。つまり、通貨のシステムは、単なる交換手段に過ぎなかったはずだ。そこに利子を付けるという考え方、そのシステムは、いったいどこの誰が考えついたんだろうか?」

「それはね、国家の ”通貨の発給権” を握ることこそ、民族や国境の壁を超えて人間を支配できることだ、と考えたアタマの良い連中よ──────その連中こそが、銀行というシステムを創った張本人。現在のように、本来の交換手段という役割で通貨が経済を支えているのではなく、通貨自体で経済をはかり、まるで通貨そのものが経済の目的のようになってしまっているのは、すべてその考え方から始まったものかもしれないわ」

「ううむ、世界が、そんなことになっているとは────────」

「そして、ここでようやく ”暗殺” の話になってくるのよ」

「よし、姿勢を正して拝聴しましょう」



                    ( Stay tuned, to the next episode !! )





  *次回、連載小説「龍の道」 第175回の掲載は、4月15日(金)の予定です

taka_kasuga at 21:30コメント(26)連載小説:龍の道 | *第171回 〜 第180回 

コメント一覧

1. Posted by ハイネケン   2016年04月02日 08:17
人間行動のベースとなる価値観は、テレビの「2時間ドラマ」なら恨みつらみ、「xファイル」なら闇の組織の陰謀でしょうか?
「人種」「信条」「性別」「社会的身分」「政治」「経済」「社会的関係」が価値観・
物語の要素となり、事件を中心に「前後の出来事」「関係者」を追っていきます。

歴史でも、事件の前に何があり、なぜ事件が起き、結局誰が得をしてゆくのか?しっかり見てみる必要がありますね。
(「風が吹けば桶屋が儲かる」も笑えない話になりそうですが)

日本銀行がこんな仕組みだったとは知らず、驚きました・・・。
 
2. Posted by bamboo   2016年04月03日 09:38
悠々と窓の雪景色を眺めながら朝の珈琲を飲んでいた…> さすが!相変わらず寛げていますね〜 …いや。こんなときこそ、ですよね(*゚ー゚)
誰が戦争を望み、誰が戦争によって利益を得てきたか> 世の中や宏隆君の身に起きたすべてが単純ではないがゆえに、調べるのにもやはり個人を超えた世界規模の大きな力が必要なのですね。
…そう思うと、ひとが組織でなにかを成そうとするとき、呆けていては確実にこの国も人生も「不毛地帯」になってしまう。壱岐正じゃないですが、“これからは、組織で動く時代です” ね…。DVD観てよかった…勧めてくれた父にいまから電話します
 
3. Posted by タイ爺   2016年04月04日 16:40
最近の説では信長暗殺もキリスト協会と某外国資本が動いていたとか・・。
経済という物差しで世界を見ると違う景色が見え隠れしてそうです。

そういえば日本も終戦当時は不可解な事故死などがずいぶん多かったと思います。

4. Posted by まっつ   2016年04月04日 22:40
国家の中央銀行が民間資本で運営されているとは知りませんでしたし、
一見して奇妙に感じられます。
独立性が要求されるので政府からは距離を置くにしても、
存在意義から考えると、公的な立ち位置である事は当然のように思います。
その事実自体が知られていない事も奇妙だと言わざるをえません。
グローバル経済の中でサバイバルしていかなければならない現代人としては、
知っておかなくてはならない裏事情だと感じました。
今後の展開が楽しみです。
 
5. Posted by マルコビッチ   2016年04月06日 01:45
日銀は45パーセントが民間資本だとか・・・いろいろと知りませんでした。
入院検査中じゃなくても理解不能な事が多い私です。
だけど、おかげさまで経済の動きを知らなければならないという事が、少し解ってきました。
とんでもない大きな力を感じますし、ミサイルぶっぱなして牽制するというような単純なものではなく、もっと頭を使った複雑なものに感じます。
”暗殺”・・宏隆くんと同様、興味あります。
何故、どうして、誰が、どうやって・・・深い闇の意図があるのか?

次回もよろしくお願い致します。
 
6. Posted by 円山玄花   2016年04月06日 01:54
うう・・むむ。今回は頭がぐ〜るぐるします。

お金を手に入れようとして脅したり暴力を振るってくる人たちならまだ対策も扱い方もあるのに、金融のシステムそのものを手中に収めているとなると、やっかいですね。
何より、そういうことを一切知らないまま銀行を利用している私たちは、
まさにカモでしかない、と。

ふと、学生時代にこういうことを教わっていたなら、ずいぶん勉強に身も入ったのにと考えてしまいましたが、もうそんなに暢気なことを言っていられる時代でもないので、せっせと勉強したいと思います。
 
7. Posted by たそがれの単身赴任者   2016年04月06日 08:07
おどろきました。あの日銀が民間出資機関とは。かって銀行といえば「第一勧業」が反社会的勢力に不正融資をして東京地検にやられた事件(映画や書籍の 金融腐蝕列島呪縛)、書籍では「最後の11人」(やはり不正融資でつぶれた山一証券)などで知っていた程度ですが、結構ずさんですきだらけと思っていましたが、日銀はおそろしい組織なのですね。確かに戦争の資金というものは誰が出すのだろうと思います。日露戦争では高橋是清?かだれかが戦費調達にアメリカに行ったと「坂の上の雲」にもありました。ここできっとフリーメーソンかだれかと契約したのでしょうか?ケネディ暗殺についても何冊か本を読みましたが、キューバ問題でうらみをかってアメリカの軍産複合体に「消された」とされる説がありました。次回「暗殺」に期待しています。
 
8. Posted by 太郎冠者   2016年04月06日 15:25
>専門書が、この世にほとんど存在していない
言われてみると、確かに。

ふつう調べ物をしていると、最初はネットから始めても、そこで紹介されている書籍にいくつか当たるものですが、政治と金の流れについて調べていても、それらしい本に当たらなかったので、不思議といえば不思議でした。
詳しく研究されていないのだとしたら、納得です。

調べようとしても二重三重のフィルターが掛ったように分かりにくくなっていますし、気をつけないと「陰謀論」に持っていきたいような、怪しげな記述が書いてあるところがいくつもありました。

本来だったら、歴史も金融も関連づけて、学術的にも、かつ現代の政治に関してジャーナリズムとしてももっと徹底的に追求されてしかるべきなのに、情報統制が見事にいきわたっているのかと感心してしまいます。それも、気付かないうちに。

ここから先、どんな話が出てくるか楽しみです。
 
9. Posted by とび猿   2016年04月06日 22:14
>世界中にある中央銀行のほとんどは、民間銀行か、民間の資金が入った銀行

お恥ずかしながら、知りませんでした・・・
普段使っているお金についても漠然としていて、通貨というものは、『交換手段として価値がある物』としか捉えていませんでしたが、これは、上手くやれば一部の人間がどんどんと儲け、しかも、国という単位以上の権力を持つこともできる恐ろしいシステムなのですね。

陰謀論というものも、一時期はやっていた記憶がありますが、なんだか下らなく思えるものが多く、笑い飛ばしてしまったり、ただの偶然や大したこともないことと思っていました。
しかし、試しに数字について調べてみましたら、いろいろなところに影のように纏わりついていて、気味が悪くなってきます。

鈍臭い自分には知らない事ばかりで、次回も気になります。
 
10. Posted by ユーカリ   2016年04月06日 23:51
経済…とんと頭が働かなくなってしまいます(・・;)
普段から、あまり頭が働かないのですが、特にお金の流れとなると、、、。
「日本銀行」「連邦準備銀行」などと言われると、言葉の綾で、政府が管理しているものだとばかり思ってしまいます。「国が管理しているものだから大丈夫」と何の根拠もなく安穏と構えてしまいがちです。
危機管理・危機感知の為にも、正しい知識と認識が必要ですね。

CQCを学び始めてから、何事も偏りがあっては成長してゆけないと感じています。
これを機会に、苦手な分野も(果たして、得意な分野があるかも疑問ですが…)勉強してゆきたいと思います。
 
11. Posted by ランフォリンクスの尾   2016年04月08日 17:56
今回も興味深いお話をありがとうございました.

気になって少し調べてみたところ,Political and Financial HistoryとかEconomic and Financial History などという研究分野はあるみたいなんですが,百年以上前からあるようには見えませんね.

The Ascent of Moneyとかいう2008年イギリスのテレビドキュメンタリーを少し見てみたのですけど,なんだか漠然とした話しかできない印象です.

こういう分野はどう頑張っても研究内容が政治的に自由にならなのだろうな,と考える自分は理系でよかったと思います.理系らしい理系の研究でも本当の意味で完全に中立な立場で行えることはありませんけれども.
 
12. Posted by mimizuku   2016年04月14日 15:40
アメリカでは紙幣の発行は、政府が連邦準備銀行から借金する形でおこなわれ、ようするに利子をとられても、政府は連邦準備銀行の株式を持っていない、という事は、通貨システムに反しているのではないか、私も変だと感じる。とともに通貨の発給権を握った、特権階級によって世界の通貨システムが動いているとすれば、本当の歴史がお金の流れによって造られて来たことを考えると、これからの日本人はさらに厳しい状況に置かれてくるように感じます。

心身供に危機に備えなければなりません。
宜しくお願い致します。みみずく
 
13. Posted by 春日敬之   2016年04月19日 18:31
☆みなさま

多忙に紛れ、またまたコメントバックが遅くなりました
何とぞご寛容のほどを m(_ _)m
 
14. Posted by 春日敬之   2016年04月19日 18:32
☆ハイネケンさん

お久しぶりですね。
コメントをありがとうございます。

風が吹けば桶屋が儲かる、の場合は思わぬ所に出た影響ですが、
この小説のケースでは「何が吹けば自分が儲かるのか」が熟考され、
追求し尽くされた、たいへん緻密な”会計屋さん”の存在が浮かび上がってきます。

>日本銀行がこんな仕組みだったとは

私たちが知らされていないこと、思いもよらないことは、
実は驚くほど沢山あったりしますね。
「誰もそんなことを気にしないところ」には、必ず支配者の意図がありそうです。
 
15. Posted by 春日敬之   2016年04月19日 18:32
☆ bamboo さん

現代の戦争は、国家vs国家ではなく、
大国を主宰する人間たちを操る者が、世界を支配するための方法として存在します。
ターゲットとなる国や地域を「不毛地帯」にすることで、
自分たちの利益を得ていこうとするものです。

枝葉の事件に囚われていた私たちは、
その背後にある、もっともっと巨きな企てに気がつかず、
それを荒唐無稽な妄想であると、信じ込まされていました。

現代の敵は、武力では制圧できない恐ろしい相手です。
 
16. Posted by 春日敬之   2016年04月19日 18:34
☆タイ爺さん

信長のことはちょっと分かりませんが、
坂本”龍馬” が色々と、アレやコレに関係していたのは事実のようです。
私たちのイメージは、司馬遼太郎の ”竜馬” が強いですが。

終戦当時、まだ日本が米国の占領下にあった昭和24年に
国鉄に関連する事件が三つも起こりましたね。

下山事件で国鉄総裁を轢いた列車は「D51651」、
三鷹事件の発生は、昭和24年7月15日午後9時23分、
松川事件は、1949年8月17日午後3時9分でした。

ついでに、地下鉄サリン事件、松本サリン事件、
坂本弁護士一家殺害事件なども、
ただ日付を確認するだけで、その背後に居る人間たちの顔が見えてきます。

師父は先頃のCQC特別講習で、
これを詳細に解説されたとか。

21世紀に入ったころから頻発する大地震の、
震源地や発生時間が示唆するものや、
他の大事件とも見事に一致するから不思議です。
 
17. Posted by 春日敬之   2016年04月19日 18:39
☆まっつさん

>知っておかなくてはならない裏事情

本来は国民の誰もが認識していなければならないものが
おそらく知らない人が殆どなのでしょうね。

歴史にしても、大事件にしても、大災害にしても、
そのウラに何があるのかを、私たちは知らされていません。
それを知られると、都合の悪い人たちが居るからですね。
 
18. Posted by 春日敬之   2016年04月19日 18:39
☆マルコビッチさん

>ミサイルぶっ放して牽制

それで済むのなら、ぼくもそうしますが、(*^_^*)
それで済まないように仕組んだところが、彼らのアタマの良いところ。

もう出てしまいましたが、リンカーン暗殺は如何でしたでしょうか。
 
19. Posted by 春日敬之   2016年04月19日 18:40
☆玄花さん

>まさにカモでしかない・・

そのカモに、そのうちバーコードが付けられて、
管理される日が来るとしたら。。

iPhoneで喜んでいる私たちはきっと、
眼には見えないバーコードを身体に刻印されて、
パスポートも免許証も保険証もクレジットカードも要らない、
便利な時代になったと言って、喜ぶのだと思います。

世界でナ二がどうなっているのか、
今はその勉強に励んで、実態を理解することが大切ですね。
そして世界がガメついアホたちに占領されないように、
大志を抱いて行動しましょう。

Boys, be ambitious like this old man !!

ちょいとアタマがクラクラーク、ですが・・(^_^;)
 
20. Posted by 春日敬之   2016年04月19日 18:40
☆玄花さん

>まさにカモでしかない・・

そのカモに、そのうちバーコードが付けられて、
管理される日が来るとしたら。。

iPhoneで喜んでいる私たちはきっと、
眼には見えないバーコードを身体に刻印されて、
パスポートも免許証も保険証もクレジットカードも要らない、
便利な時代になったと言って、喜ぶのだと思います。

世界でナ二がどうなっているのか、
今はその勉強に励んで、実態を理解することが大切ですね。
そして世界がガメついアホたちに占領されないように、
大志を抱いて行動しましょう。

Boys, be ambitious like this old man !!

ちょいとアタマがクラクラーク、ですが・・(^_^;)
 
21. Posted by 春日敬之   2016年04月19日 18:41
☆たそがれの単身赴任者さん

おお、たそがれさんも日銀民間出資をご存知なかったとは。

リンカーン暗殺のお話は如何でしたでしょうか。
まだまだ入院中のヒロタカくんの勉強は続きます。
 
22. Posted by 春日敬之   2016年04月19日 18:41
☆太郎冠者さん

私たちがあまり気にならないコトや、
気にしても仕方がないと思えるコト、
気になるけど確かめようがないコトなどは、
実は最も気にすべきコトかもしれません。

普通に知らされていると思えるコトも、要注意ですね。
マスメディアもひっくるめて、何も信じてはイケマセン。
 
23. Posted by 春日敬之   2016年04月19日 18:43
☆とび猿さん

>お恥ずかしながら・・

あーら、ご隠居さんはご存知なのに、
とびサンは、知らないンでごザンスねぇ〜?(^_^;)

>陰謀論

何だか下らない、笑い飛ばせる、ただの偶然、大したことない・・

「木は森に隠せ────────」
 
24. Posted by 春日敬之   2016年04月19日 18:43
☆ユーカリさん

ぼくもケーザイは大の苦手です。
細かい計算は(できないので)経済が得意な人に任せて、
経済の仕組みや銀行のシステム、を勉強しています。
そうしないと、世界の動きが解けないからで、
ヒロタカ君も何をして良いのか、分からないからです。(^_^;)
 
25. Posted by 春日敬之   2016年04月19日 18:44
☆ランフォリンクスの尾さん

>どう頑張っても、政治的に自由にならないのだろうな・・

そのとおりですね。
太極拳の研究においても、また然り。

陳家溝が「絶対的に正統」とされているために、
それ以外の研究が如何に高度でも無視され葬られます。
そのために仮令その正統が陳腐でフルコン的であろうと。。。

「文革」で失われた秘伝は、何処へやら────────
 
26. Posted by 春日敬之   2016年04月19日 18:45
☆mimizuku さん

これからは大変な時代になると思います。
みなさんはCQC特別講習を受けているでしょうから、
きっと今までよりも危機に敏感で、心身の備えも強力になると思います。

頑張って下さい。
 

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