ウィークエンド・ディナー

2009年02月17日

そむりえ・まっつの Weekend Dinner 「 す げ 天 」

      
 「師父に天麩羅を作って差し上げる、というお約束がありましたね・・!」

 双眸を爛々と輝かせ、意気軒昂と気勢を上げた一人の門人から、全てが始まりました。


  揚張 弘(あげはり ひろし)さん、48歳・・・


       


 飄々として、常に柔和な人柄ではありますが、
 稽古では、眼光鋭く師父の動静とチューニングを計り、
 先輩たちが驚くほどに、どんどん稽古の中身を取ってしまう、
 太極武藝館・一般武藝クラスの「昇り竜」にして、
 名店で修行を積んだ「板前さん」という、ユニークな経歴の持ち主です。

 自宅に居ながらにして、本職板前の手になる、揚げたての「天麩羅」を食す・・・
 こんなイキな話を前にして、黙っている武藝館ではありません。

  師父:「よし、さっそく武藝館天ぷらスペシャル、”すげ天” ディナーをやろう!!」

 心意気には、心意気で返す・・・
 こうして「すげ天」(すげー天麩羅プロジェクト)は音を立てて走り出したのでした。

 さぁ、今宵のウィークエンド・ディナーは、
 新たに揚張さんという「板さん」を迎えての、純和食・天ぷらディナーです!



さて、和食と言えば先ずは「お箸」ですが、


     


 今回使われた箸は、宮内庁御用達の名店「箸勝本店」謹製の、

  「吉野杉本柾赤染利休箸」です。

 赤杉の利休箸は、千利休が必ず茶事の度に自ら削ったという逸話があり、
 その色は「一期一会」の慶びを表すものと云います。

 淡い五色の箸袋には、師父が篆刻された朱印が押されています。
 師父の俳号や遊印の文字が箸袋の上で気儘に遊び、
 この日の宴の豊かさを予感させるものです。

 この御箸は、天皇陛下の日々の御膳にも供される品で、
 四方の柾目は一直線に伸び、輪郭は優美な流線を描き、驚くほど軽く手に馴染みます。

 一食毎に、真新しい一膳の箸を供する・・・

 伊勢神宮の式年遷宮然り、
 夏越し、年越しの大祓、茅の輪潜り、煤払い、
 松飾りや書き初めをどんど焼きで焚いてしまうことや、
 畳の表替え、障子の張替え、玄関先の打ち水、
 茶席の蹲踞手水、初座と後座の変化なども、また然り。
 常に新しく生まれ変わる意識宇宙・・・

 罪穢れを祓う・・・

 罪=つみ=包む身=本来の人間性が隠れてしまうこと
 穢れ=けかれ=氣枯れ=大自然の神々から戴いたエネルギーが枯渇すること
 祓い=はらひ=つみけがれを新しいエネルギーへと再誕生させること

 つみけがれを認識しては、また祓う。
 それを日々毎々繰り返して生きること・・・
 「Rebirthing=再誕生」こそが日本の文化なのだと、師父は語られます。

 金属製のナイフ、フォークとは違い、毎回使い捨ての木の箸など、
 西洋渡来の合理主義では、資源の無駄としか判じられませんが、
 万事に於いて大宇宙大自然との合一を尊ぶ文化を育んできた東洋の、
 瑞穂のクニの文化には、異なる観点があるのです。

 真っ新な一膳の箸の中に、大自然や食そのものへの敬虔が込められてあり、
 主客の関わりの中で、無言の内に交わされる心延えがあるのです。

 むぅ・・まことに奥が深いものです(汗)



今宵の口切りの御酒は、


         


 古の昔より、天下の美酒、幻の銘酒として謳われた、
 加賀の「菊酒」の伝統を今に伝える銘酒、「菊姫 山廃純米酒 鶴乃里」です。

 全国に二千社を数える白山神社の総本山、白山比咩神社(しらやまひめじんじゃ)の祭神、
 「菊理媛神(くくりひめのかみ)」に由来する酒名を持つこのお酒は、
 すっきりとフルーテイーな香りが広がり、濃醇ながらも、たいへん上品な飲み口。
 一口にして陶然とし、二口目には思わず笑みの眉開く如しとなります。

 菊理媛神は、その昔、イザナギ(死者)と
 イザナミ(生者)の仲を取り持った巫女の女神。
 陰陽を循環、昇華させて、罪穢れを祓わんとする
 神格の名を冠るに相応しく、八百万の神々を想う
 晩餐にはもってこいのお酒ではありませんか。

 酒器は、創業百七十年になる、京都・清課堂製の
 錫の銚釐(ちろり)と、見事な焼け具合が景色の
 備前・森丁斎作、手捻り灰被りぐい呑み。  

 加えて、地元森町にある、森山焼き・静邨陶房、
 鈴木静邨の秀作、紅焼ぐい呑みも登場です。
 
 食卓脇の、梅と菜の花が清楚に生けられた備前の
 一輪挿しにも目を奪われますが、
 こちらは師父お好みの、人間国宝・松井興之(まついともゆき)の作。
 これまた今宵の一会に相応しい、日本人の魂を奥底から揺さぶる逸品です。



本日のお造りは、


     


 「真鯛と菜の花の昆布締め」で、掛け酢を添えて戴きます。
 こちらは、シェフのお作です。

 新鮮な真鯛はよく締まって歯応えが良く、繊細な旨みが楽しめます。
 菜の花は、程好い苦味が春の息吹を思わせ、季節感のある嬉しい取り合わせです。


 師父:「巷の味は、化学調味料の味に染まっているから、
     近ごろの日本人は、季節感も旬も産地も無い・・
     食べ物の素材本来の味さえ、分からなくなってしまっているねぇ・・・
     何処へ行って食べても、和食も、洋食も、中華も、
     コンソメも吸い物も、みーんな同じ味がして、ホントに嘆かわしいな」

    「お箸なんぞも、種類だけは豊富に揃っているけれど、産地はみーんな彼の中国。
     それも、たっぷり漂白剤やら防カビ剤を含んだ、色だけ白い、アブナイ美人揃い。
     そんなモノを使わなきゃならんような、情けないクニになったのかねぇ・・」

    「君たち・・・この真鯛の淡い味わいの中にある ”旨み” が分かるかな?
     食を味わえることもまた、拳理拳学の深さを味わえることに通じるのだよ・・」


   太極一味・・・

  よくよく味わうべきお言葉であり、私も常々心に留め続けています。



お酢の物は、


     


 「蛸と胡瓜と若布の黄身酢和え」、器は「伊万里瓢箪紋六角小鉢」です。

 流石、本職の仕事・・と思わずにはいられません。
 美しい盛り合わせで、上品な味わいに仕上げられており、
 はっきりとした三種の素材の食感を、黄身酢が包み込んで更に豊かな風味となります。
 今朝取りたての地卵で作った黄身酢は、味が濃く、新鮮です。

 包丁一本、手練の早業で胡瓜を1ミリ以下の蛇腹に切る手際は、正に職人の技。
 スタッフ一同、ひとえに尊敬の眼差しとなります。

 板さん曰く:「こんなの慣れですヨ〜、太極拳よりずっと簡単ですヨ〜・・(笑)」


 ・・・さて、すでに準備は万端に整ったようです。


 いつものディナーで使う厨房に据え付けられた「特設天麩羅台」は、
 業務用の強力なコンロと、直径40センチ、深さ11センチ、厚さ3ミリの鉄製の鍋。
 専門店並みの、本格的な設備がセットされました。

 材料に使われる海山の幸の仕込みも万全です。

  「車海老」「細魚(さより)」「烏賊」
  「蓮根」「椎茸」「アスパラ」「獅子唐」「薩摩芋」「大葉」・・・

 板さんが、朝五時から市場に入って目利きをしてきた、
 何れも純然たる国産の、新鮮な魚介と蔬菜(そさい)です。

 季節でないものは仕入れない・・
 手間暇かけて作られたもの以外は求めない・・

 今はちょうど、あまり食材に恵まれない季節ですが、
 板さんと師父の意見が一致して、仕入れには妥協なく、気合いが入りました。

 今回の揚げ油は、大豆100%の白絞油(しらしめゆ)。
 こちらは師父が自ら市場を巡って購入された、一斗缶入りの極上品です。

 開けたての油は、大きな天ぷら鍋にトクトクと注がれ、
 熱を加えるにしたがって大豆油の香りが室内に広がり始めますが、
 十分に熱を孕むまで・・・
 単なる食材が料理として開花するのに相応しい刻を待ちます。



さて、天麩羅のツレなる銘酒は、


         


 智恵子の ”ほんとの空” のもと、花の百名山にも選ばれる安達太良山を望む、
 福島二本松が誇る銘酒、「大七 生酛(きもと)純米大吟醸 箕輪門」です。

 繊細、優美で、薫り高く、懐深く包み込むような優しさに満ちた極上のお酒で、
 大吟醸ながら吟醸香に嫌味無く、食中酒としても第一級です。



  そして・・ついに嚆矢は放たれます。


     


 生身の手指で触れて、ちょいと油の温度を測って・・
 颯颯と、鮮やかな手際で、油の中に滑るようにタネが投入されていきます。

 しかし、家庭では有り得ぬ、並々と油の張られたその大鍋には、
 油の温度を一定に保つため、ごく僅かな量のタネしか泳がせません。

 ぱっと、華が広がるように、衣が爆ぜて泡立つその瞬間には、
 普段は温和で物静かな揚張さんの眼光が、まるで武術家のように鋭さを増します。

 次々と衣を纏わせては熱い油へと放つ動きには、
 とても素人には真似の出来ぬ、小気味良い独自の調子が躍ります。

 そして、しばし何かに耳を澄ませる容子が見えたかと思えば・・・

 転瞬、飛燕の波を掠めるが如く・・
 ネタを引き上げ、油を切り、手早く皿の上にその装いを了えます。


         




これぞ、待ち焦がれた瞬間・・


     


 先ずは「車海老と細魚(さより)の天麩羅」が勧められます。

 関西風の、色淡く揚がった綺麗な仕上がり。
 宮古島産の、まるで小麦粉のような細かさの「雪塩」か「天つゆ」で頂きます。
 薬味には、大根おろしと生柚子をお好みで・・・

 揚げたての熱々を頬張るや否や、忽ちの内に喚声が湧き上がります。


 「おお・・なんという美味さだ!!」

 「うーむ、こんな事があって良いのだろうか!!」

 「嗚呼、幸せ・・・!」

 「・・う、旨いっすねー!」 (あっ、もぐもぐのS先輩も叫んでいる!)


 あまりの美味さに、一同しばし忘我の境に入り、やがて欣喜して雀躍の呈となり・・・


 噛めば旨味がほとばしる車海老の醇なる味境・・・

 細魚(さより)の、何と瑞々しく、ホロリと崩れる身の甘さよ・・


 素材は熱い油を潜ることで旬が封じ込められ、ひときわ光彩を増しています。

 そうか・・・熱は調味料なのだと、あらためて覚ります。

 熱々を頬張っては「大七」を舌に転がし、ふうわりと広がる余韻を楽しみます。



  師父:「うーん・・よくぞ日本人に生まれけり、だねぇ!!」

  一同:「然り!」


         


 板さんは益々調子を捉えて軒昂とした意気を示し、
 出番を待っていたかのように、蔬菜たちが次々に揚げ上がってきます。


  頬が落ちるほどにホクホク甘い、太切りの「蓮根」

  香り高く、この上なくジューシーな「椎茸」

  歯応えも鮮やかに、土の香りのする「アスパラ」

  ほんのりと春の苦味のある「獅子唐」

  などなど ・・


     


  確かに吟味された素材の数々ではあるけれど、
  頬張って広がるその旨さは、既知のイメージの遙か上を行きます。

  ・・そう、熱で高められた持ち味は、ひときわ鮮やかに開花するのです。


     


 「素材は、まだこんな旨さを秘めていたのか・・!」

 それは新鮮な驚きであり、喜びでもあります。

 しかし、それもこれも、職人の手練れの ”腕” があってこそ。


  そむりえ:「揚げ時というのは、目で見て測るものなのですか?」

  板さん:「うーん、なんか、此処で揚げてくれ、っていうのが分かるンですヨ・・」

  師 父:「天麩羅は耳も大事だね。音でも揚げ具合を見極めるから、耳が利かないとね」

  板さん:「名人でも納得が行く仕上がりは生涯に数度ってことです。難しいんですヨ・・」

  ・・・ふっ、深い(汗)



 さて、こちらの「天つゆ」も、普通の家庭のソレとは、ひと味もふた味も違います。


     



 澄んだ出汁の旨みが際立つ、関西風の上品な天つゆで、
 そのまま「酒肴」として頂けそうな、見事な味わいです。
 器は、「時代有田宝紋鉢」と「有田茄子形手塩皿」です。

 日頃は脇役の大根おろしですが、これはありきたりの大根おろしではありません。
 今朝引き抜いたばかりの大根は、卸す人の手練の技によって驚くほどキメが細かく、
 仄かに甘みを湛えた繊細な味が見事に大根から引き出されて、
 道具は同じ「有次」の卸し金なのに、やっぱり全然味が違うのです・・


  師 父:「ホラ、良い機会だから、たくさん頂いて、味わってごらん!」

  一 同:「うーん・・こんな大根おろし、食べたことがないです〜・・・」


 師父と板さんは、食の話題に華を咲かせておられます。

  師 父:「クルマ海老は伊勢辺りのですか? 尾っぽの中まで旨かったね・・」

  板さん:「頭も美味いんですが、油が濁るからヤメときました。
       次は春が好いでしょうか?・・・ 鰆や山菜、野生のタラの芽とか・・
       そのうち、蕎麦も打ちたいですねぇ・・・」

  一 同:「・・えっ、次・・? 次もあるんですか!!(ワ〜イ!)」

  師 父:「蕎麦のときは是非、翠緑鮮やかな新そばを打って欲しいな・・
       蕎麦粉は? ・・ああ、石臼引きが良いんですか? 
       じゃ、さっそく探しましょう。確か北海道にも良いものがありましたね」

  板さん:「私はホントは蕎麦屋になりたかったんですヨ。
       そのために、無給であちこちで修行させてもらいました。
       でも、挽きぐるみの蕎麦は、本当に旨いです・・・」

  師 父:「夏には、鱧なんかも良いねぇ、鮎は旅をさせるわけに行かないけれど・・
       今年はどこの鮎だろうか・・高津川あたりかな?」

  板さん:「骨切りは友達に習って、修行しておきます。
       鮎はやっぱり、現地で取れたてを食べるに限りますね。
       何処か今年の中り所を探して、食べに行きましょうか・・(笑)」



今宵の名残りの佳酒は、


         


 出雲杜氏の心技と霊峰大山の伏流水が醸す日本酒、
 「鷹勇(たかいさみ) 純米大吟醸 吟麗(しずく)」です。
 
 もろみを袋吊りにし、自然に滴り落ちる最良の部分だけを斗瓶に受けた逸品。
 凛と立つ香り、辛口にして存在感もあるしっかりした飲み口、余韻は綺麗に伸びます。
 仄かに香る林檎を思わせる吟醸香も、中々心地好しです。



強肴は、


     


 シェフお手製の「飛龍頭の炊き物」です。
 盛りつけます器は、「瀬戸壽文字八角平鉢」です。

 しっとりと出汁を煮含み、ホッとする優しい味です。
 端然とした外観からは見て取れませんが、はじめから仕込むのは大変な手間暇でしょう。
 さらりと供される呼吸が、心憎い限りです。



ご飯物と汁碗は、


     

     


 「小天丼」と「卵豆腐の吸物」です。
 強肴には「菠薐草の胡麻和え」、香の物は「自家製糠漬け」です。

 ・・一見質朴ながらも、師父のお宅の食事は、ジツに中身がスゴイのです。

 艶やかに炊き上がったご飯は、信州の農家から無農薬の玄米で直送されるもの。
 小半日前に精米したばかりで、新米同然の香りと色艶の美しいこと。
 瑞々しい飯粒が極上の天つゆと相まって、えも言われぬ旨さです。

 吸い物の吸地は、利尻の天然昆布と、枕崎の雄節で出汁を引いています。
 昆布はじっくり一晩かけて水に戻し、
 削りたての極上の「本枯れ節」を惜しげも無く、信じられぬほどたっぷりと使います。

 椀ダネには、自家製の卵豆腐。
 お味のほどは言うに及ばず、実に贅沢至極の一椀です。

 胡麻和えのほうれん草は、朝採りの土つきを本邦産の胡麻で和えたもの。
 糠漬けも、やはり只者ではありません。
 一から丁寧に創り上げた糠床で、この日に合わせて漬けた、自家製の糠漬けです。
 自然な酸味と秘められた甘みが、舌を清々しく洗ってくれます。


 この、手間隙を惜しまない心尽くしこそが、
 「もてなしの為に奔走すること」を本義とする「ご馳走」に他なりません。

 一朝一夕には為しえない、スタッフの功夫の積み重ねが、沁み沁みと心に響きます・・・



食後のお茶とお菓子は、

     


 当地掛川の老舗、「伊藤菓子舗製 葛餅」に、
 お茶は「天竜手詰み緑茶」です。

 かつて東海道掛川宿は葛布(くずふ)、葛粉(くずこ)の特産で名を馳せていました。
 葛布は縦糸に麻、綿、絹などを用い、横糸に葛の繊維を用いて織った布です。
 丈夫で耐水性に優れるので雨具や袴作りに珍重され、襖や屏風にも用いられたそうです。

 こちらの葛菓子の味わいも、ぷるぷるとした食感と、清々として雅味の漂う、
 控えめな甘さが好ましい、中々のものです。
 
 古くから「暴れ天竜」として知られる、天竜川沿いの、
 切り立った急峻な斜面の茶畑で、手間暇をかけて作られた手詰みのお茶は、
 深山の香気も力強く、濃い川霧によって育まれたな独自の味わいがあり、
 山のお茶らしい風趣に溢れて、揚げ物を食した後に好く合います。
 こちらも、もちろん無農薬です。



 豊かな晩餐を終え、心の底から寛いだ気分に浸ると、、
 嗚呼、やっぱり吾々は日本人なのだなぁ、と改めて想わずにいられません。

 豊穣なる山河大地を有し、四季折々の移ろいを愛で、
 大自然に見る神々を尊崇しながら営まれてきた日本人の文化・・・

 それは、幾百幾千の歳月を経てもなお、生き生きと脈打ちながら、
 移ろう「刻」そのものを噛み締め、味わい、愉しみ、悦び、感謝する魂を育み・・・
 一期一会に真心を尽くす文化にまで高められてきました。

 今宵ここで、その精魂の一端を味わう機会を得て、
 日本人とは本当に凄いものだと、つくづく敬嘆せざるを得ません。

 そんな日本人の気骨と、
 今宵の宴を発案し、呼応し、企画をされ、
 その「ご馳走」の為に文字通り奔走して頂いた皆さまに、
 心からの感謝を奉げたいと思います。

s_mattsu at 19:30コメント(5) この記事をクリップ!

2009年01月26日

そむりえ・まっつの Weekend Dinner 「功夫餃子 満喫!」

 太極武藝館の名物ディナーは・・・?

 ・・と、問われれば、幾多数多(いくたあまた)とありますが、
 空きっ腹に思い浮かべるメニューと言えば、やはりバリスタ手製の「功夫餃子」でしょうか。

 どうして「バリスタ」が餃子を? と、お思いでしょうが・・(笑)

 とにかく、初めて食す人は、もう、一様にビックリです。

 「そもそも、餃子って、こんなに旨いものだっけ・・?!」

 「これなら、いつでも専門店が出せますよぉ〜!!」

 「いやいや、すげー館グッズと一緒に、ネット通販で全国展開でしょ〜!」

 ・・・などなど (汗)


 今宵の晩餐は、功夫餃子とアジアンな酒肴に舌鼓です。



本日の忘憂の物は、

       


 琉球泡盛『瑞泉・白龍・八年古酒(クースー)』です。  

 花香馥郁として、鮮烈なアタックです。なにせ酒精40度の紛れも無いスピリッツ。
 ロックで頂くと、ぐっと滑らかで優しい飲み口に変わります。
 キレが良く、舌の油を綺麗に灌いでくれます。後味は嫋々と長く、余韻上々です。

 師父が沖縄で試されて、絶品の「久遠」同様にお気に召した佳品とのこと。
 何でも、食事の友としては、歳月を経て、ほど好く円みを帯びた7年頃が丁度良いのだとか。

 自ら求められ、手ずからに振舞って頂きました。感慨無量です・・・ !!



前菜は、

  


 「叉焼(チャーシュー)」、箸休めは「もやしのナムル」と「白菜の甘酢漬け」です。

 チャーシューは、もちろん手造り。
 下味を付けた豚肉を、油をかけながら丁寧に焼き目を付け、
 さらに時間をかけて煮込んだ、シェフの労作です。

 脂身はトロリと甘く、肉はホロリとして味が濃い・・・
 肉の旨みを凝縮させたタレも魅力的に過ぎます。熱々のご飯に肉を盛り、
 タレをかけ回して、がっつけば・・・と思わずにはいられません。

 ナムルと甘酢漬けの軽い食感と酸味が、舌を程好くリフレッシュしてくれます。



これぞ、本日のメイン、

  


 「武藝館特製・焼餃子」です。

 醤油と黒酢、お好みでラー油を少々加えて頂きます。
 サクサクに焼き目の付いた半身と、もちもちに蒸しあがったもう半身。なんとも魅惑的です。

 香ばしいごま油の香り、皮を噛み切ると、熱々の具が転び出て、はふはふと咀嚼すると、
 口いっぱいに広がる、肉と野菜の渾然とした甘さに、知らず頬が緩みます。

 泡盛をグビリと呷(あお)りつつ、次々と焼き上がってくる餃子に箸をのばします。

 因みに餃子の中身は、
 キャベツ、ニラ、ニンニク、ショウガ、タマネギ、干し椎茸、そして豚肉です。
 調味料は砂糖、醤油、塩、胡椒、胡麻油などを使います。
 そして、場合によっては片栗粉を少々・・

 しかし、この餃子の一番のポイントは、なんと言ってもキャベツ、だそうです。
 しかもこれは、信州の農家から直送された、取り立ての無農薬キャベツ。
 単に瑞々しいだけでなく、キャベツとは斯くあるものであったかと改めて思える、
 自然の甘さ溢れる、絶品の味わいです。


 ・・今夜の話題は、ちょっとヘビィに天下国家論です。

 師 父:「日本人が思いもよらないくらい、某国はシタタカな国なのだヨ。
      大体、こんな旨い泡盛を造る沖縄が、某国の領土なワケがないだろう・・?」

 S先輩:「(頷きつつ)・・・もぐもぐ 」

 師 父:「何せ、20年前までは ”三千年の歴史がある” って言ってたのが、
      だんだん増えて、今じゃ ”五千年の歴史” なんて言ってる位だからねぇ・・
      そのうち、六千年なんて言い出しそうで・・・ははは・・・」

 S先輩:「(頷きつつ)・・・もぐもぐもぐ 」

 師 父:「それに対して、これまでの日本の対応はあまりにもマズイ・・・
      ・・・けど、この餃子はウマイなぁ!」

 S先輩:「(盛んに頷きつつ)・・もぐもぐもぐ」 ・・って三十個目ですかぁ〜!!

 ・・などなど。

 仕込みから焼き方まで、素材を活かしきった軽妙な味わいこそ、功夫の賜物でしょう。
 この味を出すに至るまで、バリスタは一体何個の餃子を造っては焼かれたのでしょうか。

 本当に、幾らでも食べられてしまうのです・・!!



続くは、

  


 「海老のチリソース」です。
 ご飯と、スープと、香の物と共に頂きます。

 ルーツの四川料理「乾焼蝦仁(ガンシャオシャーレン)」はピリ辛が身上ですが、
 シェフのエビチリは和式の装いで、マイルドな味付けです。
 海老のプリプリした歯応えと、シャッキリとした野菜の食感の対比が絶妙です。



デザートは、

  


 「タピオカミルク」、合わせます中国茶は「台湾青茶・翠玉」です。

 ほんのり甘いココナッツミルクに、ぷるっとタピオカと、甘酸っぱいキウイ・・
 アジアンなお汁粉ですね。
 味が濃く、ふくよかで瑞々しい風味の中国茶と相まって、まったり・・・落ち着きます。


 中国では、餃子は縁起物で、祝いの席に付き物だとか。
 なるほど確かに、世情を超えて、今夜の餃子は人をとても幸せにしたようでした・・・


                                (つづく)


s_mattsu at 17:40コメント(2) この記事をクリップ!

2009年01月03日

そむりえ・まっつの Weekend Dinner 「ビストロ Bugeikan」

日夜、太極拳の深奥を究めんと、千鍛万練の稽古に明け暮れる武藝館ですが、
その活力を支える源のひとつは、日々の「食」にこそあるのかもしれません。

人間、動けば腹が減るもの、思惟すれば腹が減るもの、呼吸するだけでも腹が減るものです。
そして当然、稽古をすれば腹が減る・・・
武藝館に集う面々は師父の薫陶を受けてか、食いしん坊がとても多いのです。

そんな武藝館には、専属のシェフと、バリスタと、ソムリエが揃っている事は、
知る人ぞ知る「秘事」であります。

週末の稽古の後には、10時間に及ぶ稽古の後で腹ペコになった猛者たちが師父のお宅に
集い、千軍万馬のシェフが腕を振るった料理に舌鼓を打ち、駆け出しソムリエが選んだ美酒に
陶酔し、百戦錬磨のバリスタのカフェでスゥイートに明日の英気を養っております。

日々是好日・・・
絶対的な武術の境地を追求しながらも、常なる「今ここ」を楽しむ事を忘れない・・・。
そんなセ・ラ・ヴィな武藝館の日々の風景を、武藝館専属「そむりえ」である、
わたくし、「まっつ」がご案内させて頂きます。

太極拳は無論、お酒も、文章も、まだまだヘッポコの駆け出しですが、
宜しくお付き合い頂ければ幸いです。


 * * * * * *


さて、秋の夜長と云う言葉もありますが、武藝館の場合は秋じゃなくてもロングナイトが
普通です。妥協を知らない日々の稽古は、日付を跨ぐことの方が遥かに多いのです。

そして、たっぷり稽古の後には、師父のご好意により、
ちょっと遅めの夕餉を共に囲ませて頂きます。

今夜は、古参門人の方々との、本格フレンチディナーになりました。



今夜の一本目は、

  


シャンパーニュ
 「フランク・ボンヴィル・グランクリュ・ブリュット・セレクション」です。

ブラン・ド・ブラン(白の白:白葡萄のみという意味)らしい、
すっきりと爽やかな飲み口です。



前菜は、

  

「揚げポレンタの生ハム巻」と「温野菜のマリネ」です。

ポレンタというのは、とうもろこし粉で作ったそばがきのようなものですが、
揚げたものはクリスプな食感が新鮮で驚きです。
野趣の残る生ハムの風味が取り合わせの妙ですね。

この前菜は、師父のアイディアであるとのこと、流石です・・・
マリネの野菜達も味が濃く、甘い。素材の素性の良さに加えて、
さり気無くも丁寧な仕事が光っていました。  
ワインと料理の相性も上々。食慾も弥増すというものです。



二本目のワインは、

  


ブルゴーニュの白
 「ドメーヌ・ポール・ペルノ:ピュリニー・モンラッシェ 2003」です。

華やかで瑞々しく、芯のしっかりした魅力的なワインです。



続くは、

  


「ミネストローネ・ジャガ芋のニョッキ入り」です。

ル・クルーゼ(仏製のホーロー鍋)で野菜をじっくり煮込んでいます。
もっちりニョッキがスープを含んで実に美味。野菜の滋味が溢れる味わいです。


  


仕上げの盛り付けは、ナント、師父のお手によるものです。
師父がはたらいて、弟子たちの前に熱々のスープが・・・(!)

折角作っていただいたのですから、いちばん美味しい所を逃さず食べる事こそが、
正しくご恩に報いる事というものです。

「・・・それでは、師父、お先に戴きま〜す!(もぐもぐ)」



魚料理は、

  


「牡蠣のピラフ・ノルマンディー風(ホワイトソース仕立て)」です。

粒々とした米が牡蠣の旨みを吸って、たまらん味わいですね。
米、牡蠣、ホワイトソースの三位一体が相まっての口福です。

・・シェフ、こいつは絶品ですヨ!
ミネラリィでクリーミーな風味を持つ白ワインとの相性も抜群。

・・・と、あれれ、酒豪のK先輩、もうワイン飲み干してるし・・・(早っ!)  
むぅ、酒を切らしてしまうとは、そむりえ・まっつ一生の不覚・・・(汗)



メインに合わせるワインは、

  


ボルドーの赤
 「シャトー・フェリエール2002」です。

まだまだ元気一杯の若々しい色調です。
ハーバルな香り、タンニンは滑らかで甘く、余韻は長め。
 
・・・嗚呼、何とチャーミングなワインでしょうか。



本日のメインは、

  


「仔羊のロース・香草パン粉焼き」が出ます。

クセが無く、きめの細かい肉質、噛み締めるほどに肉の甘みが滲み出てきます。
滑らかな食感、香草の風味が赤ワインと実に良く合います。
今回の仔羊は、チリ産の完全無添加飼育品で、厳しいスイスの有機認証も取得し、
一流レストランにも卸される極上品です。

なんとも贅沢な味わいに、文字通り幸せを噛み締めて、一同しばし無言です・・


        


食卓の話題は、このラムチョップの焼き方です。

シェフ:「今日の焼き方は、ちょっと自信がないんですヨ・・・」

S先輩:(・・・もぐもぐ)

シェフ:「師父なら、インスピレーションで焼いちゃいますよネ!」

S先輩:(・・・もぐもぐ)

師父:「勘ではありません。あくまでも、聴勁で焼くのです・・・」

S先輩:(もぐもぐもぐ・・・って、5本目ですかぁ〜)

・・・などなど



締めのデザートは、

  


「信州リンゴのコンポート」、コーヒーは「グアテマラ オリフラワー農園」です。

煮含められたリンゴのしっとりと上品な味わいに、
クリーンな風味に程好い酸味の効いたコーヒーが良く合います。
眼が覚めるような、嬉しい取り合わせです。


                               (つづく)



s_mattsu at 00:10コメント(0) この記事をクリップ!
Categories
livedoor Readerに登録
RSS
livedoor Blog(ブログ)