2018年01月17日

JAZZYな、太極拳を。 第1回

  〜The Days of Wine and Jazz〜     by Taka Kasga


 久しぶりに生のジャズを聴きたくなって、日本でライブ・レストランを予約した。

 世界のトップアーティストが、入れ替わり立ち替わり毎夜ライブ演奏をする、よく知られたナイトクラブが東京にある。もとはニューヨークにあった店で、常にチェックをしていないと、タッチングなアーティストが来た時や人気のセットだと、アッという間に席が一杯になって、なかなか良い席を確保できない。

 音楽は、やっぱりライブに限る。
 ぼくは球場や武道館のような巨きな会場ではなく、アーティストの息遣いまで聞こえてくるような、こじんまりとしたライブハウスが好きだ。ニューヨークには10ドル札を握ってフラッと入って、それでチケットを買うとウイスキーが1杯付いて来る、客が肩を寄せ合うようなちっぽけなジャズハウスもあった。そんな処でナマのジャズに触れると身もココロも浄化され、また新しい明日が来るのを確信できるような気持ちになれる。

 東京のナイトクラブは、幸いにもステージにほど近いボックス席が取れたので、大切な人と一緒に、ちょっとお洒落をして、気の利いたお酒と料理を摘まみながら、迫力のある生演奏に触れて来ることにした。


 そして丁度そんな時に、新しいカテゴリーを開設したいから、何か書いて貰えないかという依頼が、すげー館の事務局から来た。
 「龍の道」だけでも手が一杯で、それでなくても本業が忙しくて、いつも原稿がギリギリのアップであっぷあっぷしてるのに、新しい記事なんかとても書けるワケはない、と思ったのだけれど、「まあ、これも稽古だと思って楽しんで、気合いで書いて行きましょう ♪」などと、化勁で巧みに崩すように言われ、とうとう書くハメになってしまった。

 ブログの新しいカテゴリーは、「JAZZYな、太極拳を。」なのだという。
 何でも良いから、春日サンが思いつくまま、自由気儘に書いてくれれば良いです。
 別にジャズの中身には拘らないし、掲載日を決めなくてもかまわない。
 ジャズソウル、ジャズフュージョン、アダルトコンテンポラリー、シャーデー、ザーズは言うに及ばず、ケニーGだってアリ、何でもヨキに計らってケッコーです・・・と仰るので、ほ、それならばナンボでも─────と、気楽に書くことにいたしましたのです、ハイ。


 でも、どーして、なんで今、すげー館で「ジャズ」なのヨ?─────と聞くと、
 「師父はジャズがお好きですからね」、だって・・・あはは。
 でも、いくら何でも、それだけの理由じゃないでしょうと、よく聞いてみると、
『そもそも、Alfa Romeo を駆るときにジャズはよく合うし、ワインとジャズも、ウヰスキーとジャズも、ビールとジャズも、太極拳とジャズも、とてもよく似合う。だから、武藝館のブログに、ジャズカテがあっても、イイじゃないか!』
・・などという、「グラスの底に顔があっても岡本タロー(古っ!)」みたいな、師父のご意見があったといいます。
(不明な人はググってください。僕もそのグラスを持ってます ( ^ω^ )

 因みに、アルファを駆る時にジャズというのは、実際にはちょっと難しいのです。だってエグゾーストノートが余りにもやかましい・・いや、アルファサウンドと呼ばれるほどの、とても心地良い響きなので、BOSEだろうがカロッツェリアだろうが無理、本来不可能なのです。
 でも、アルファにジャズってのは大賛成ですね。新しいジュリエッタなんか室内が静かそうで、すごく合うんじゃないかな。ジュリエッタ、ほすい。。(。-_-。)


 ついでですが、そもそも太極拳の套路を演じる人は、どうしてみんなサテンのパジャーマーズみたいな服を着て、申し合わせたみたいに喜多郎の「シルクロード」をバックにかけながら遣りたがるンだろうか─────ぼくはそのコトが、ずっと不思議でした。

 別に喜多郎の曲がマズいってワケじゃない。ぼくは彼のアルバムはほとんど全部持っているし、まだシルクロード・デビューする以前の、つまり彼が売れないヒッピーの頃の、遥か昔のアルバムも、ヤフオクにも出さずに何枚か持っているし、日本武道館のハレのライブに行ったことだってあるのだから、彼を貶(けな)すつもりなんか毛頭ない。
 確かに、ちょいとリズム感が悪いかな、というキライはありますけどね。♪(´ε` )

 ただ、誰も彼もが「シルクロード」を掛けながら、ランチャーイー、ダンビエン、とやっているのが、ぼくにはチト不思議なのです。(ランザツイとか、タンベン、ゲホココ、なんてゆーのは、もっと不思議ですが)
 喜多郎のシルクロードは、とてもハートフルな佳い曲です。
 同名のNHK番組のテーマ曲をはじめ、シリーズの全曲を担当していて、彼の曲のお陰で、あのテレビ特集の映像が、視聴者にどれほど悠遠に、神秘的に、幻想的に映ったかは、計り知れないと思うのです。
 ただし、ですな・・・日中共同製作であるNHKの「シルクロード」という番組と、その舞台となった支那(China/チャイナ)に関しては、アレコレ言いたいコトが山ほどある。だけど、ここでは場違いなので、グッと堪(こら)えて、いつかバッコーンと爆発する時に備えての 蓄勁にしときましょう。押忍っ。

 ちなみに、ぼくは独りで套路を練る時には「ENIGMA 3」なんかをかけます。
 ・・というか、その曲が掛かっているときに(執筆中なんかに)套路をやりたくなる。
 5曲目の「Why !」、6曲目の「Shadows in Silence」なんか勝手に体が動いてきて、うおおっ、コレが十八球だ!、いや、幾つにも割れるから「ちかいの魔球」だ!、いいや、軽くて飛びそうだから「オバ球(Q)」かな?、それっ、♬ 8キロ、10キロ、50キロ・・なんて、ひと休みするまで思えてくるのです。(最古〜っ)


 えぇ〜っと・・・違った、ジャズだ!、ジャズの話だった─────
 これは地の糧、オンドレ・ジイド・・
 いやいや、ジャズ・カテの話だっけ。オンドレは、ナ二考えとんぢゃいっ!
 おっと、すんません、初回からつい極道言葉が入っちまいました。。(^0^;)
 ENIGMA はジャズじゃないっスね。
 喜多郎と同じような、ヒーリング・ミュージックの部類に入れる人もいますけど。
 余談ですが、豪州ではKITAROは、カイタローと呼ばれています。



 さてさて、ようやく本題。
 記念すべき、第1回目にご紹介するアルバムは────────

 そうね・・・うん、

 「Easy to Love / Roberta Gambarini 」

 にしましょう。

 
 ロベルタ・ガンバリーニ。
 1972年生れ。イタリアのピエモンテ州、トリノ出身の女性ジャズシンガー。
 12歳の時からクラリネットを習い、17歳からジャズクラブで歌い始め、翌年からキャリアを磨くためにミラノに移り住み、数々の国内フェスティバルに入賞。
 その後、1998年に活動拠点をニューヨークに移し、セロニアス・モンク・インターナショナル・ジャズボーカル・コンペティションで3位に入賞。本格的にジャズシンガーとしての道を歩み始めました。
 2005年(33歳)に、『Easy to Love』でアルバムデビュー。


 ─────いやあ、これは昨今の、やたらと色気やムードだけで売り込んでいる薄っぺらなジャズシンガーとは全く異なる、久々のホンモノです。
 この「Easy to Love」は、2007年のグラミー賞のベストジャズアルバム部門にノミネートされた大傑作です。ぼくはこのアルバムが彼女の「デビュー作」だと聞いて、本当にビックリしました。ぜひ、この素晴らしいアルバムをじっくりと聴いて、本物の深みを味わってください。

 このアルバムのピアノ奏者、Tamir Hendelman(タミール・ヘンデルマン)はオスカーピーターソンも太鼓判を押すほどの実力者。15歳の時に「合歓の郷」のジュニア・オリジナル・コンサートに来日出場した経歴も持っています。

 2008年には、そのタミール・ヘンデルマンと共に来日しました。
 ロベルタは、20014年の春にも来日して、先述の東京のジャズクラブでもライブをしたそうなんですが、ああ、いちど日本でナマで聴きたいなぁっっ・・!!

 エラ・フィッツジェラルドや、サラ・ボーンの再来とまで言われているロベルタさん。
 あの偉大なカーメン・マクレエを彷彿とさせるような、本物の実力派です。
 貫禄の歌いっぷりには、ただひたすら、脱帽するしかありません。
 この人が21世紀のジャズに大きな足跡を残すことは、もはや疑いようがありません。
 まだご存じない方は、ぜひぜひ、聴いてみることをお勧めします。


CDジャケット


     

     



 ついでに───────
 このアルバムに似合うワインは?

 ・・って、なんでワインまで話が飛ぶんだいっ!・・とお思いでしょうが、
 この記事のサブタイトルが "The Days of Wine and Jazz"(サケとジャズの日々)なのよね〜 ^_^;

 で、すげー館の「そむりえ・まっつ」さんにでも訊こうかと思ったんだけど、
 ええい、オイラだって酒呑みの端くれ、いっそ自分で選んじゃえっ(呑んじまえっ)、となりまして・・ハハ



wineuki_0209001005124


  
 この、GAJA MAGARI(ガヤ・マガーリ) 2011 ROSSO ─────
などは如何でしょうか?・・まずまずのオススメだと思います。


 イタリアワインの帝王といわれるガヤさんがピエーヴェ・サンタ・レスティトゥータの
 次に手に入れたのが、ここ、トスカーナのポルゲリ地区にある「CA' MARCANDA」。

 熟した黒系果実の味としなやかに感じられるタンニン、ボルゲリ地区で注目品種である、カベルネフランを主体に、カベルネソービニヨン、プティヴェルドを加えたボルドーブレンドで、フローラルな芳香が満ちて、骨格もしっかり、酸味とまろやかさが備わったエレガントな味わいです。
 デイリーワインには贅沢ですが、ちょっとした記念日や気分を変えたい週末に、大切な人とふたりで、キャンドルを灯して味わうにはピッタリな一本でしょうね。
 
 ワイナリーの名前である「CA' MARCANDA(カ・マルカンダ)」というのは、
 ピエモンテ地方の方言で「望みのない家」という意味。

 オーナーのガヤさんは、このワイナリーの土地を手に入れるために所有者に何度も交渉を
 しましたが、何回行っても断られ続け、何と18回に及ぶ交渉の末、ようやくこの土地を
 譲り受けたといいますが、交渉に行くたんびに断られるので、奥さんから
 「アナタ、懲りもせずにまた ”カ・マルカンダ(望みの無い家)” に行くの?」
 と、呆れられていたので、それをワイナリーの名前にしたのだそうです。
 ボクだったら、「へ・マタイクンダ」なんて名付けるところですけど σ(^_^;)

 さあ、皆さんも、極上の一杯を飲りながら、ホンモノのジャズを聴いて・・

 稽古をいくらやってもマルカンダ(上手く行かない・望みがない)なんて言わずに、
 たぶん、きっと、parhaps, maybe・・(MAGARI の意味です)、
 望めばきっと手に入る!、と信じてあきらめず、しっかりとガンバリーニ!!


                              ( Cheers!)



 *GAJA MAGARI (ガヤ・マガーリ) 2011 ROSSO
  イタリアワインの帝王ガヤがトスカーナのボルゲリで造るシリーズ。
  ガヤの実力が如何なく発揮された、世界中で高い評価を受けるプレミアムワイン。
   <参考価格/2015年 750ml 6,300円(税抜)>

taka_kasuga at 22:36コメント(11)JAZZYな、太極拳を。  

コメント一覧

1. Posted by たそがれの単身赴任者   2018年01月18日 19:37
おおっ、春日さんは平成30年「龍の道」はついにジャズとお酒の「龍の道外伝」へと進化したのでありましょうか。謹厳実直な武術の世界から、筆が躍るような文体へと昇華。安ワインと場末のいなかのジャズ喫茶しかしらない小生にとっては、あまりにまぶしい世界であります。

太極拳の歩法にあわせての音楽は、やはり幽玄のシルクロードではなく、もっとエネルギッシュで爆発の世界でありましょう。太極拳は綿中蔵針、その秘めたるエネルギーは魂の叫び。次回の展開を期待しております。
 
2. Posted by マルコビッチ   2018年01月22日 21:50
春日さんが、「気楽に書くことにした・・」というこの記事は、まさに自由で、とても楽しく、心地よいです。
春日節炸裂ですね!!

私もジャズは大好きですが、いつも決まったもの(家にあるCD)しか聴いていないので、ジャズとワインの連載が始まると知って、とても楽しみにしていました。
Roberta Gambarini かっこいいですね!
声が口から出ていると思えないし、凄い洗練されているし、圧倒される感じでした。
生で聴いてみたいです。
春日さん、素敵な連載ありがとうございます。
 
3. Posted by まっつ   2018年01月22日 22:47
当にラテンの太陽と大地を感じさせる、
エネルギッシュでアースィーな歌い手さんですね〜。
久し振りに黒い香りのする音楽に触れた心地です。
ワインもカベルネフラン主体だとすると土のイメージが浮かびますね。
私もかなり好きな品種ですし、めもめもしておいて何時か必ず飲んでやりますですよ!
 
4. Posted by ユーカリ   2018年01月22日 23:27
久しぶりの春日節、とっても嬉しいです。
おしゃれで、楽しくて味わい深い記事に、今後がますます楽しみなります。

Roberta Gambariniさん、色々な表情を持つ、とても魅力的なシンガーですね。
ご本人とバンド、客席とが一つになり、とても心地の良いひと時をご一緒させて頂きました。
それに合うワイン、「GAJA MAGARI 2011 ROSSO」はどんなお味なんでしょう?ボトルもスタイリッシュで、素敵です。

これから、本物をゆったりと味わうことを、大切に人生に取り入れたいと思います。
 
5. Posted by 太郎冠者   2018年01月22日 23:51
うわー、なんか素敵ですねぇ!

家と職場と道場を行ったり来たりする、健康で文化的な最低限度の生活を続けていると、
心身ともに遠出をしたくなります!
というか、絶対に必要です(汗)。

インターネットは便利になりましたが、音楽は絶対にデジタル音源よりもライブに限ります。
とはいえ埋め込みのYouTubeで音楽を再生しましたが、
これまた素敵な歌声ですねぇ。すばらしい。

ニンゲンとして、ココロや魂を養わないと、大事なものは絶対ワカラネエですよね!

僕もちょっとサクッとお出かけしてきます。
・・・時間を作って(笑)
 
6. Posted by 円山玄花   2018年01月23日 00:02
まさか春日さんからJAZZのお話を聞けることになろうとは、嬉しいですね。
Alfa Romeoを語る春日さんなればこそ、でしょうか。
期待に胸が高鳴ります!

私は、ジャズはボーカル無しの楽器のみの演奏が好きでよく聞いていましたが、
今回ご紹介頂いたロベルタさんの「Eazy to Love」は、歌唱力も素晴らしく、
そしてとてもハートフルな歌声が良いですね。
ロベルタさんもそうですが、上手な歌い手の方は、まるで楽器が奏でる音のように歌い、
歌声で楽曲を邪魔をすることがないように感じられます。
そんないい曲を聴いていると、さっさと仕事を終えて、心安らぐ一杯を頂きたくなるものですが、
ちゃんと春日さんがワインまでチョイスしてくださるのですね。いやはや、脱帽です。
「ヘ・マタイクンダ」に乾杯!
 
7. Posted by mimizuku   2018年01月23日 15:27
ブログ拝読させて頂き、ありがとうございました。
「Jazzyな、太極拳を。」との題名でありますが、今回とても興味深い記事でした。
エニグマ3のシャドーインサイレンスの音楽と自分の感触との一体感。ジャズとワインというよりは演歌と焼酎のお湯割りのわたくしには、新鮮な感動があります。
ブログのジャズをきいてみると静かなイメージ、外見と違う、なにか身体の奥底で熱いものがバランスよく全体に行き渡る感触です。
いつか極上の一杯を飲んで本物ジャズをライブで聴いてみたいです。
 
8. Posted by タイ爺   2018年01月24日 08:58
ラテンジャズなんて分野がある通りラテンのノリとジャズはなんて相性がいいのでしょうか。
スイングジャズが好きな私としては一曲目がノリノリで最高でした。
いわれてみれば確かにすげー館ってJAZZYな雰囲気ですよね。有難うございました。
 
9. Posted by とび猿   2018年01月27日 07:01
春日さんの新連載、とても楽しみです。
音楽とお酒、いいですね。
どちらも人間の感性と精神性を深めてくれるように思います。
やはり、人間はロボットではないですし、ましてや、武術を志すなら、
より、感性を磨いていかなくては、見えるものも全く見えなくなってしまいます。

ロベルタ・ガンバリーニさんの歌を聞いていると、自然と身体が動いてくるような気がします。
それこそ套路を練りたくなってきます。
ライブで聞けたなら、もっと素晴らしいのでしょうね。
ありがとうございました。
 
10. Posted by もず   2018年02月26日 16:46
コメント、遅くなりました。
春日先生の"Jazzyな太極拳を"連載を楽しく読ませていただきました。文章のリズムでスイングしたくなるような気がしてしまいました。
ロベルタさんの動画youtubeでみました。力のある声ですね。
動画で見ていると一緒に演奏している音楽のリズムに乗っているのか、歌のリズムでバックを乗せているのか分からなくなるような感じを受けました。

ワイナリーの土地のオーナーになるための交渉を18回も行ったのですね。そして、その土地を得ただけでなく美味しいワインを作るところまで持って行けて初めて私達の口に入るのですね。すごいなー。(まだ飲めてないけど)

Jazzyな太極拳  いいですよね! 私も楽しみたいと思いました。
 
11. Posted by ハイネケン   2018年03月15日 03:47
>稽古をいくらやってもマルカンダ
のっけからグサリと刺さりましたが、新連載おめでとうございます。
心の奥で(気付かなうちに?)何かと諦めている事がある私です。
そういえば「酒は蘊蓄よりも一口でも飲んだ方が分かります」とバーテンダーさんに言われてました。

さてさて、いつこのワインを手に入れようかな・・・
 

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