2016年05月01日

連載小説「龍の道」 第176回




第176回  SURVIVAL (8)



「たとえば───────」

 ヘレンが冷めた珈琲をグイと飲み干し、別のファイルを手にして話し始めた。

「FRB(連邦準備制度理事会)の議長を18年間も務めていたアラン・グリーンスパンは、
『The age of turbulence(波瀾の時代)』という著書で、”リンカーンのグリーン・バックは政府が法律で造った不換紙幣だったのでインフレを巻き起こし、非常に評判が悪かった” と書いているわ」

「あはは・・いったい ”誰の” 評判が悪かったと言うんだろうね」

「そもそも、もしリンカーンの法定通貨が価値の低いものだったら、ロンドンは何も恐れる必要がなかったはずでしょ」

「政府が銀行から借金をしてもらわないと金融家たちは儲からない、だから法定通貨を造るような大統領は許せない、ってコトでリンカーンが暗殺された。犯人を雇ったのはイギリス生まれのスペイン系ユダヤ人で、弁護士上がりの国務長官・・その背後にはイギリスの王室や政府、ロスチャイルドの存在が見え隠れする。不換紙幣を造られていちばん都合が悪かったのは、イギリスおよび国際金融資本家たちだった、という事になるね」

「グレートブリテンはリンカーンの時代だけじゃなく、この現代にも強かに生き続けているわ。気をつけなくっちゃね」

「イギリスについてもじっくり勉強しなきゃいけないね─────さて、リンカーンが暗殺されてからの、金融家の ”中央銀行設立” に向けての動きは?」

「とても念入りに、その準備が行われたわ。調べていけば行くほど、彼らがとても用意周到だと判るのよ」

「むむ・・・」

「ニューヨークばかりでなく、ロンドンの銀行家たちも、リンカーンが発行した法定通貨をいかに無効化・無力化するかということに知恵を絞り、策を凝らしてその工作に着手し始めたのよ」

「アメリカの財務省は、現在の連邦準備銀行ができる前には、さぞ国際金融家勢力に抵抗を示したんだろうね」

「もちろんよ、だけど相手は相当にシタタカだった─────」

「どんなことをやったの?」

「まず、アメリカ合衆国を、ロンドンの ”金本位制” に縛り付けようとした」

「えーと、キンホンイセイ(The gold standard system)ってのは、たしか・・」

「その国の貨幣制度の基準を ”金(ゴールド)” であると定め、その基礎となる貨幣を金貨とし、自由鋳造・自由融解を認めて無制限に通用する力を与えた制度のこと。それ自体は金貨本位制と呼ぶのよ。要するに金そのものを貨幣として流通させようというわけ。19世紀は金貨が基本のお金として存在していたからね」

「うん、そうそう、そんな事だったかな・・はは」

「けれども、実際には流通に十分な金貨を準備できないし─────」

「・・それに、金貨は持ち運ぶには不便だし?」

「そう、そこで中央銀行が、金の地金との交換を保障された ”兌換紙幣(だかんしへい)” と ”補助貨幣” を流通させることによって、貨幣価値を金(ゴールド)に裏付けさせることが行われる─────これを ”金地金本位制(きんじがねほんいせい)” と言って、いまの金貨本位制と併せて【金本位制】と呼ぶワケよ。」

「ふむ。簡単に言えば、金貨の代わりに紙幣を流通させる仕組み、というコトかな」

「まあそうだけど・・もっと分かりやすく説明しましょうか。
 例えば、日本国が金貨を造るとするでしょ、すると、その金貨は中央銀行、ニチギンの大金庫に収蔵される。それを【正価準備高】というの。そして日銀は正価準備高の分だけ紙幣を発行する。そして「紙幣は金貨と価値が等しい」として、紙幣を国内に流通させるわけ。
 でも、それは結局紙切れなので、金貨と等しい価値を持つとは誰も思えない─────」

「ふむふむ・・」

「そこで兌換(だかん)というシステムが用いられる。日銀は窓口に紙幣を持ち込まれたら同額の金貨を払い出す。反対に金貨が持ち込まれたら同額の紙幣を払い出す。常に交換ができるから、その価値は等しい、という事になる」

「ふーむ、なるほど・・」

「そして、日銀は金貨を払い出した際には受け取った紙幣を紙切れとして破棄するし、金貨を受け入れれば、同額の紙幣を払い出した瞬間から、ただの紙切れが紙幣として通用する、ということ。これによって【正価準備高】と【紙幣流通高】は等しくなるワケ。
 つまり、日本に百億円分の紙幣が流通しているとしたら、日銀の金庫にはきっかり百億円分の金貨がある、ということなのよ」

「いやぁ、分かりやすいなあ!、経済って、意外と簡単かも・・」

「ところが・・たとえば、アメリカの金貨が日銀に持ち込まれたら、どうなる?」

「えーっと、日銀としては、自分のところで発行した紙幣ではないし、日本が造った金貨でもないので、どうしようもないのでは?」

「そのとおり。そこで日銀は、その外国のお金を ”買う” のよ。何故なら、米ドル金貨を改鋳(溶かして鋳造し直すこと)すれば、その分の日本円の金貨が造れるわけだから。
 当時は1ドルの金貨(1.5g)は2円の金貨に改鋳できたらしいわ。つまり2円は金1.5gの価値があって、1ドルも金1.5gの価値があった、と言えるわね」

「じゃ、もし日銀が1ドルの金貨を買って改鋳すると、正価準備高は2円増えるわけだね。つまり、2円の紙幣を一枚発行できるということ・・?」

「そうよ、よく分かったわね!、まあコレは中学生レベルだけど」

「むむっ・・くっ・・・」

「したがって外国との貿易では、日銀はドルを買って円を売る、アメリカの輸入業者はドルを売って円を買う、そういう異なる通貨での取引を ”外国為替” というのよ」

「それじゃ、円高とか円安っていうのは?」

「そのような外国為替市場では、円やドルといった通貨の価値が刻々と変化しているのよ。その時の為替レートが決まると円高や円安になる。けれども、金本位制では金(ゴールド)の量、つまり金の重さで為替レートが固定されるので、円高や円安が発生しない」

「要するに、安定した貿易ができる、と?」

「エラいわ〜、よくできました!、金本位制が理解できたから、やっと次に行けるわね〜」

「もぉ、オラのゴトを馬鹿にステからに!!」

「さてと、合衆国では1875年に、Specie Payment Resumption Act(正価支払回復法)が成立した。これはそれまで正価として金(ゴールド)と共に通用していた銀(シルバー)を廃止して、金だけを正価とする事を目指した法律だったわけ。
 だけど、ニューヨークの銀行家たちはロンドンの金融家と共謀し、保有してあった数千万ドル相当の財務省証券を売払い、その支払いに金(ゴールド)を要求して、財務省が保有していた金をショートさせて、1883年から1884年にかけて大金融パニックを起こした。
 いわゆる ”Panic of 1884” と呼ぶものね。銀行は貸し出しを縮小、融資を引き揚げた為に史上最大の経済恐慌、大不況が起こった。この経済危機は11行のニューヨーク銀行と、100以上の州立銀行を破綻に追い込み、3,200万ドルの借金が債務不履行に陥ったの」

「わぁ、経済オンチの僕でも、それがスゴイことだと分かるよ!」

「さらにまた、1893年の恐慌でアメリカ財務省が保有していた金(ゴールド)の海外への流出が続き、アメリカは遂に金が底をつき始めた。ヨーロッパでアメリカの有価証券に対する信用が落ちて、資本家がどんどん金(ゴールド)に換えていったせいよ」

「ふぅむ・・」

「当時の民主党、グロバー・クリーブランド第24代アメリカ大統領は、ウォール街に債券引き受けシンジケート(銀行団)を組織して、財務省に6,500万ドルの金(ゴールド)を調達するよう要請し、その半分がヨーロッパから調達され、財務省の一億ドル分の債券の信用回復に使われ、欧州資本の引上げ傾向に歯止めをかけ、その結果、取りあえず財務省を救済することができたのよ」

「おお、それは良かった!」

「しかし、モルガンや銀行家たちはそれを良く思わず、共和党のウィリアム・マッキンリーに巨額の寄付を与え、マッキンリーは ”金本位制” を旗印にして1900年の大統領選挙で勝利した。マッキンリーは金融家たちにとって、大変都合の良い大統領となったワケね」

「なんと・・大統領が、国際金融家とグルだとは!」

「今もずっと、そのスタイルは続いているわ。ただ国民がそれを知らないだけ。詳しくは、また追い追いに話すけれど、少なくとも国民のための大統領ではないわね。だから、都合の悪い大統領は更迭されるか、最悪の場合は暗殺される─────」

「むむむぅ・・・・」

「そしてその同じ年、ついに金本位制の法律が成立して、リンカーンの法定通貨がイギリスの銀行家たちの手中に落ちた。ロンドンの国際金融家と通じる、モルガンやロックフェラーなど、財閥銀行家による合衆国支配が、いよいよ本格的に始まったと言うわけよ」

「それじゃ、もう合衆国の財務省は打つ手がなくなった、と?」

「いや、それでも懸命に法定通貨発行権を死守しようとしていたけれど、財閥銀行家が巧みに仕組んだ風評の被害を受けて、ニューヨーク第三位の信託銀行だったニッカーボッカーが営業停止に追い込まれ、それを契機に大きな金融恐慌が勃発したの」

「金融恐慌───────?」

「そう、1907年にモンタナ州の銅山王と呼ばれたハインツが、United Copper Industries(ユナイテッド銅社)の株の買い占めを謀ったが失敗に終わり、ユナイテッド銅社の株は大暴落、投資家は先を争って、ハインツが頭取をしていた銀行をはじめ、株の買い占めに資金提供をしていた銀行から預金を下ろすという ”取り付け騒ぎ” が起こった。いわゆる1907年恐慌と呼ばれるものね」

「取り付け騒ぎ、って何なの?」

「銀行に対する信用が不安になり、預金者が預金や貯金を取り戻そうとして銀行に殺到し、大混乱することよ」

「なるほど、それでどうなったの?」

「取り付け騒ぎでは、まずハインツ所有の銀行が破綻し、やがて関連の銀行や信託銀行にも影響し、次の週にはハインツが頭取を務めるニッカーボッカー信託銀行だった。五番街にある瀟洒な本店には数百人の預金者が列をなし、現金を引き出そうとした。
 どこの銀行もそうだけど、そもそも銀行には多額の払い戻しができる現金など無いので、預金高の極端な減少で経営が成り立たなくなり、瞬く間に破綻・倒産という事態になった」

「うわぁ・・・」

「この現象はさらにアメリカ中の銀行に波及して、地方銀行はその上部の都市銀行から、都市銀行は中央のニューヨークの銀行から預金の回収を図ろうとした。このため、アメリカ全土の銀行で支払制限が行われるようになり、多くの州銀行、地方銀行が準備金の枯渇で破産し、多くの企業が破綻、失業者は300〜400万人に上った─────というわけ」

「たった一社の株の買い占めから、そんな事になるとはね」

「ところが、どうもこれは入念に仕組まれた事だったみたいで・・」

「なぜそう言えるの?」

「この深刻な銀行恐慌に、突如として救いの神のように現れたのが、あのモルガン・・」

「ああっ・・・!!」

「ジョン・ピアポント・モルガン(モルガン財閥創始者)は、何と財務長官をニューヨークに来るよう呼びつけたのよ。彼のチカラがいかに大きかったかが分かるでしょ。
 そして数十人の国内有数の銀行経営者を自宅の図書室に集め、討議した。モルガンは金融システムを守るために自己の資産をふんだんに使った上、ニューヨーク中の銀行を説得し、強力な銀行や証券会社が脆弱なものを買収してしまうよう強く働きかけ、誰もがそれに従った。
 当時のアメリカには、まだ中央銀行が存在しない状態が続いていたので、モルガンというたった一人の民間人が、アメリカの経済の未来を左右するような事態になったわけね。
 やがて、モルガンやロックフェラーと通じるルーズベルト大統領が、財閥の市場独占を禁止していた ”反トラスト法” を停止した為に、財閥銀行家たちは、心置きなくライバルの会社を倒産させ、買収しながら、市場独占の勢いを強化していった─────というお話」

「なるほど、リンカーン暗殺からの、およその流れは分かったけど・・」

「なにか質問がある?」

「いや、ちょっと話が戻るけど、北部のリンカーンが財務省で紙幣を刷ったくらいで、よく南北戦争に勝てたなあと思って・・そんなものなのかな、経済って?」

「良いカンをしてるわね、実はそのとおりよ!」

「・・やっぱり、何かあったんだね」

「北部が勝てたのは、ロシアのアレクサンドル二世がリンカーンを支援したからよ」

「ええっ!・・ろ、ロシアが?、あのロシアが、リンカーンを支援した?」

「そや、ふつう、そんなアホな、て思うやろ?」

「フレンチ・カナディアンのくせに、大阪弁で言うなよ・・・だけど、それってアメリカやカナダの教科書か何かに載ってることなの?」

「いいや、コレ知っとる人は、ヒジョーにマレやで」

「・・けど、それじゃ、今のアメリカが統一国家としてして存在するのは、ひたすらその時のロシアのおかげ、という事になるんじゃないの?」

「そのとおりよ。南北戦争の時、ロシアは艦隊をサンフランシスコ湾とニューヨークに派遣して、南部連合に大きな圧力をかけた。それなしに、グリーン・バックスだけでは南部には勝てなかった、合衆国はどうなったか分からなかったでしょうね。正にロシア様様、本来、アメリカ人は今もロシアの方には足を向けて眠れないハズ・・・」

「でも、なぜロシアは北部を支援したんだろうか?」

「南部を支援したのはイギリスとフランス。イギリスは植民地のカナダから、フランスはメキシコから圧力をかけた。そして、その経済面・軍費の面倒をみたのが、かのロスチャイルドさま─────!!」

「それじゃつまり、ロシアはイギリスと、ロスチャイルドに立ち向かった、と?」

「そういうコトになるわね」

「そいつは、ちょっと驚きだなぁ・・・」

「実は今でも、ロシアは同じ考え方なのかも知れないわ」

「えっ?・・何だか知らないことばかりだな」

「やっと金本位制が分かったばかりだから、それはまた今度────────
それじゃ、いよいよ連邦準備銀行が創られる、最終的な話に入りましょうか」

「うむ、それも気になる。ちょっとドキドキするな」

「財閥銀行家たちは、中央銀行設立に向けて最後の仕上げをしようと、ある秘密会議をしたの。時は1910年、場所はアメリカ南部、ジョージア州の沿岸にあるジキル島」

「ジキル島?・・なんだか不気味な名前の島だね、ジキル博士と同じスペルだ」

「ジキル島は政財界の高級別荘地のような所ね。表向きの理由は、1907年に起きたような恐慌を防止するための銀行制度の改革についての会議、というものだったけれど、なぜか参加者たちは、周囲には ”ジャマイカに行く” と告げていた・・」

「怪しいなぁ。そもそも、国家の中央銀行を創立するための会議を、国会のような公の場ではなく、しかも首都ワシントンから遠く離れた南部の小島で、人目を避けて秘密裏に行うこと自体、余りにも怪し過ぎないか?・・その秘密会議を呼びかけたのは誰なの?」

「アメリカ議会の金融委員会委員長、ネルソン・オルドリッチ上院議員よ。モルガンのビジネスパートナーで、息子はチェース銀行(J.P.Morgan Chase & Co.)の頭取。
そして娘をジョン・ロックフェラーに嫁がせている。つまり、デイビッド・ロックフェラーやネルソン・ロックフェラーの母方の祖父に当たる人ね」

「はは、ますます怪しいな・・で、そこにはどんな顔ぶれが集まったの?」

「フランク・バンダーリップ(ニューヨーク・ナショナル・シティ銀行頭取)、
 ヘンリー・ダビッドソン(モルガン商会共同経営者)、
 チャールズ・ノートン(ニューヨーク・ファースト・ナショナル銀行頭取)
 ベンジャミン・ストロング(バンカーズ・トラスト銀行副頭取)、
 ポール・ウォーバーグ(クーン・ローブ商会共同経営者。ドイツ系ユダヤ人)、
 ピアット・アンドリュー(財務省次官補)─────といった面々ね」

「ふーむ。名前だけじゃよく分からんが、結局モルガンの息の掛かった連中なんだよね」

「勿論そうだけど、ここで中心的な存在だったのが、ポール・ウォーバーグよ」

「えーと、ウォーバーグは、クーン・ローブ商会の共同経営者?、ドイツ系ユダヤ人?・・何故そんな人物が、この会合の中心になっているんだろう?」

「クーン・ローブ商会(Kuhn Loeb & Co.)は、鉄道事業に投資してモルガン財閥と競争を繰り広げたような、西半球で最も影響力のある二つの国際銀行家のひとつと謳われた金融財閥よ。ロックフェラーのメインバンクで、財政アドバイザーとしても知られているわ。
 創業者のアブラハム・クーンとソロモン・ローブがクーン・ローブを興し、その後クーン家の息子とローブ家の娘テレサが、そこで働くジェイコブ・ヘンリー・シフ(Jacob Henry Schiff)と結婚。シフはクーン・ローブ商会の頭取に就任した。シフは旧いユダヤ教徒の家庭に生まれた人よ」

「ふぅむ・・・」

「このポール・ウォーバーグはルーズベルトを大統領に仕立て上げるために一役買った人。兄弟にはナチスドイツへの活動資金を提供していたマックス・ウォーバーグ(Max Moritz Warburg/ドイツ名:ヴァールブルグ)がいる。ヒトラーはウォーバーグからの献金100万マルク(現在の12億円)で突撃隊を組織し、ナチの制服を作ったそうよ」

「あれ?・・でも、この人はユダヤ人だよね。ヒトラーはユダヤ人を迫害した憎っくき悪魔のハズでしょ。なのに、どうしてナチスに献金して援助するの?」

「このマックス・ウォーバーグは、元ドイツ皇帝ウィルヘルム2世の直属の秘密諜報員で、ロシアのトロツキーにも50万ドルの政治資金を提供しているし、マックスの従兄弟に当たるフェリックス・ウォーバーグは、レーニンを 封印列車* に乗せてロシア革命を支援した国防軍情報部長官だった人よ」

【註*:封印列車/1917年の二月革命後、スイスに居たレーニンたちロシアの亡命革命家たちが敵国であるドイツを通過してロシアに帰った列車のこと。ドイツ領内を通過中は列車から離れず、ドイツ市民と接触しないことを条件とされた】

「なるほど、カネの亡者たちはイデオロギーなんかどうでもイイんだろうな。どっちに付いたら儲かるかを考えるだけで、その時々で商売相手が違うワケだ」

「ジェイコブ・ヘンリー・シフは、フランクフルトのゲットー(ユダヤ人隔離居住区)で、初代のマイアー・アムシェル・ロートシルト(ロスチャイルド)の時代に、グリューネ・シルト(Haus zum Grunen Schild / House of the Green Shield=緑の盾の館)と呼ばれる五階建ての家に一緒に住んでいたの。そしてウォーバーグは、このフランクフルトのゲットー時代からロスチャイルド家、シフ家とは類縁関係にあったというわけ」

「ううむ、どんな話にもユダヤの金融家が絡んでくるなぁ・・♫ In the Ghetto〜 っと」

「エルビスの歌ね。ちょっと疲れたかな?、いくらタフでも、あんな目に遭った直後だから無理もないわ・・眠くない?」

「ああ、僕は大丈夫だ、どんどん話していいよ!」

「それじゃもうひとつだけ────────」

「ほい、ナ二が出てくるやら」

「そのジェイコブ・シフは、日露戦争に際して、2億ドルの融資を行って日本を強力に援助したのよ」

「へ・・・?!」

「へ、じゃないわよ。日本人として、その事実を知ってる?」

「ウンにゃ、寡聞にして存じませんが─────」

「ウンニャじゃないでしょ、それじゃ高橋是清は?」

「知ってるよ。大蔵大臣や首相にもなった、二二六事件で暗殺された人。コレキヨの恋文、ってのもあったな・・日露戦争と何か関係が?」

「やれやれ、キョービの日本人は自国の歴史もシランのか。
 日露戦争前夜。当時の日銀副総裁だった高橋是清が外債を募ってアメリカに渡ったけど、どこも公債を引き受けなかった。仕方なく日英同盟を頼りにイギリスに渡って、やっと500万ポンドの公債引き受けを取り付けたものの、ロスチャイルドにも融資を断られた。戦時国債は1,000万ポンドは必要だったが、ようやく半分─────
 そんなとき、高橋と懇意の銀行家が開いた晩餐会でジェイコブ・シフと出会った。偶然にも隣に座ったシフは、日本軍の士気はどの位高いのか、日本の産業は、物価は、人々の様子は、財界はどうか、などと質問され、高橋が丁寧に答えると、翌日、クーン・ローブ商会から500万ポンドを引き受けるという連絡が来た!」

「うわぁ・・め、目がぁ!・・目が醒めてしまったぞ!!・・
 当時の世界基準通貨は米ドルじゃなくて英ポンド。日本円をどれほど集めても外国の兵器は買えない。だから大英帝国まで公債を売りに行ったんだろうけど・・
 だけどさ、そのジェイコブ・シフとの出会いは、偶然じゃないでしょ?!」

「そのとおり。日露戦争開戦を前に、シフのニューヨークの邸宅でユダヤ系アメリカ人が集まって、その席で彼はこのように語っていたの。
 『恐らく3日以内に日本とロシアは戦争に突入するはずだ。我がクーン・ローブ商会は日本への資金提供を検討しているが、皆の意見を聞きたい。我々のその行動が、ロシアに居る同朋にどのような効果を及ぼすかについて、よく検討してもらいたいのだ』─────」

「・・ん?、ロシアに居る同朋?・・なんだかクサいなぁ!、やっぱり金融家が、ただカネを出すって言うワケはないんだね!」

「Bingo !!(ビンゴ)──────すこし目が醒め過ぎたかな?」



                    ( Stay tuned, to the next episode !! )




  *次回、連載小説「龍の道」 第177回の掲載は、5月15日(日)の予定です

taka_kasuga at 22:28コメント(20)連載小説:龍の道 | *第171回 〜 第180回 

コメント一覧

1. Posted by まっつ   2016年05月02日 22:33
近現代の歴史において、
件の国際金融資本が裏のプレイヤーとして、
どれだけその長い手を伸ばしてきたのかを、
窺い知れるエピソードだと思いました。
巧みにゲームのルールを作る事で、
プレイヤーでは無く、ゲームマスターの立場で、
盤面全てを支配する方法論でしょうか。
個別のビジネスの世界でも、
この標準規格を制する事が勝ちパターンだとされています。
経済という枠組みのコアにして最外殻でもある「金融」に対して、
ゲームマスターとして関わる遣り口は、
見事であるとも思います。合理精神の怪物だと思います。
多くの人がもっと知る事が必要な事なのだと思います。
 
2. Posted by 円山玄花   2016年05月03日 21:50
う、うわぁ・・ああぁ。
今回の「龍の道」は、3回ほど読んでようやく話が飲み込めてきました(^^;)

金融家、銀行家。
なんということでしょう。私たちが「世界の歴史」として認識していることは、
ほとんど彼らが関わり、彼らの思惑によって築き上げられてきたことなのですね。

特に最後の、日露戦争に際しての高橋是清とジェイコブ・シフのお話は、
宏隆くんじゃなくても、目が覚めます。
ヘレンさんに「自国の歴史も・・」と言われても、仕方ないですね。

私たちが学んできたのは、単なる歴史年表と僅かな内容だけのような気がしてきます。
飲み込むのに時間が掛かりますが、「龍の道」での歴史の勉強は、とても面白いです。
特に、時折入る宏隆くんの合いの手が、簡単明瞭に説明されていて分かり易く、助かります。

次回も楽しみにして、頭の整理をしておきます!
 
3. Posted by bamboo   2016年05月03日 23:00
戦争・金・政治…生々しい裏側をいつも詳しく書いて下さってありがとうございます。
カネの亡者たちはイデオロギーなんかどうでもイイ> ロスチャイルド・JPモルガン・ロックフェラーなど、世界中に大きな影響力を持ってきた一族ですが、(なんでやねんほんまに!?)と思うようなことをあっさりやってのけるところが彼らの恐ろしさでもあり、ある種の強さにもなっているように感じます。彼らのほんとうの目的が何なのか、これからも詳しく教えていただきたいです。

「風と共に去りぬ」今日すべて観ました。戦争・資産・愛…なんともオトナのお話ですねぇ…。ヴィヴィアン…でなくて逞しい女性をよく観て生きていこうと、人はもちろん、資産も大切にしようという意識が少し強くなったように感じます。
それにしてもスカーレット嬢のあの強さは、明治の女性たちにも通じるような気がします。…昔ある明治生まれの方に、初対面で「どえりゃぁたよりにゃあやさおとこだでいかんわ、ヒャヒャ!」と笑われたことを久々に思い出しました(苦笑) ムショーに悔しくて(絶対見返してやるぞ…)と闘志を燃やしたものでしたが、たしかに強い女性でした(-_-)
 
4. Posted by 太郎冠者   2016年05月05日 22:18
学校等で教わってきた教育が、いかに誰かにとって都合が良いように出来ていたか、というのが良くわかりますね。

この年になって勉強してはじめて、それまで疑問だったことの数々が結びついてきました。
それが面白いことだと思うと同時に、これまで自分は一体何を学んできたのか、と茫然となってしまいました・・・。

心の底から「時間を返せ!」
と言ってやりたいです。いやまぁ、学校には不熱心だったわけですけども。
・・・それはそれで良かったかもしれません(笑)

しかしこうして金の流れを追っていくと、いかにも腑に落ちるというか、ある意味分かりやすいので助かります。
続きも楽しみにしています。
 
5. Posted by マルコビッチ   2016年05月05日 23:41
人間としての真の生き方から大きく逸脱している人々・・・
本当に恐ろしい事です・・・
こんな事を言っている私は、青臭い人間でしょうか・・
知識が中学生レベル以下の私の頭の中は大恐慌です。
それでも、基本的な事を調べながら、「龍の道」を何回か読み返して、世界がどんな力で動いているか少しずつわかってきました。
もっと知らなければならない、知りたいという気持ちも大きくなってきました。
これだけの事を知っただけでも、自分が生きている場の世界観が変わり、緊張が生まれるのを感じます。

次回も楽しみにしています。
よろしくお願い致します。
 
6. Posted by とび猿   2016年05月06日 22:17
今まで学んできた歴史は、単語や年号を覚えることが主で、単語や事柄について多少の解説や補足があっても、関係については詳しく触れることはなかった気がします。
私にとって、歴史の授業はとてもつまらないものでした。
しかし、龍の道のように関係を追っていくと、まるで小説を読んでいるかのように興味を持って学んでいく事が出来ます。(あ、龍の道は小説でした・・・)
そして、本筋を学ぶ経験や知識が乏しいと、大した疑問も抱かず、False Flag Operationsのようなものにコロッと嵌ってしまうような人間が出来上がってしまうのですね・・・

腹を立ててばかりいても仕方がないので、もっと物事を理解していけるよう勉強します。
 
7. Posted by ユーカリ   2016年05月06日 23:57
莫大なお金が、ある一部の金融家たちの間で動いていて、多くの人命を犠牲にする戦争に、個人的な都合が大きく関与していようとは、思ってもいませんでしたし、知ろうともしていませんでした。
自国の生い立ち、文化、足跡、歴史を知り、他国とどう関わってきたかを知る事、それらを伝えられる事が、今後、日本人として非常に大切だと感じます。
 
8. Posted by たそがれの単身赴任者   2016年05月07日 02:02
恐ろしいですね。世界をまたにかけて牛耳る闇の金融家。日本は日露戦争の戦費調達から彼らに食い込まれたのですね。
リンカーンの不換紙幣に端を発した複雑化した貨幣経済と帝国主義による戦争の蔓延が彼らを肥えふとらせたのですね。米や小判や銀で経済を回していた江戸時代には彼らは食い込まれなくてよかったのに、明治維新、文明開化、列強の仲間入りと威勢のいいことを言っていた日本は、彼らのいいカモだったのでしょうね。日銀の成り立ちも早く知りたいですが、またまた恐ろしい真実が待っているのでしょうか。
 
9. Posted by taka_kasga   2016年05月09日 18:41
☆まっつさん

戦後日本人は「人間の標準規格」をアメリカによって作られ、
何も疑わない、何も気にしない、何も見えない、何も分からない、
ただ目先のモノゴトを大切にしながら、群れから外れぬよう、
コツコツ黙々と、自己主張を程よく織り交ぜながら
真面目に生きてさえ居れば良い、というような、
一般常識的な、陳腐な教科書的な知性しか持たない、
自分の殻を破れる新しい発想や、困難に立ち向かえる気骨の無い、
非常にコントロールし易い人間が多く生み出されました。

今の日本で、世界で何が起こっているのか─────
その真実を聞いても、荒唐無稽な陰謀論と思えてしまうような、
自分の直感よりは偏向したメディアの記事を信じ、
自己が平穏無事に生きていく為に造った天秤で量り得る常識の中で、
すべてを判断できればそれで良しとするような、
妄想と真実の区別も付かない、お目出たい人間たちが創り出されたのです。

これぞ、彼らの思うツボ。
これからの世界は、日本は、間違いなく大変なことになります。

しかし、その時になって、
「ただの陰謀論じゃ無かったんだ!」と叫んでも手遅れ。

真の武術の高みを目指すような人間であれば、
少し自己の常識で出来た世界を離れて静かに観てみれば、
いま世界で何が起こっているのかが、分かるはずです。
 
10. Posted by taka_kasga   2016年05月09日 18:42
☆玄花さん

私たちが教わってきた「世界の歴史」は、
誰かにとって都合の良い歴史であり、
日本の歴史は、特に「幕末から先」は明らかに見方を変える必要があります。

学校の歴史年表を焚火の火に焼べて、
宏隆くんと一緒に、頑張って勉強してください。(^o^)
 
11. Posted by taka_kasga   2016年05月09日 18:43
☆ bamboo さん

>彼らの本当の目的は何なのか

どのような金額でも2日あれば用意できる、
と豪語しているので、その目的はカネではありません。

どのような少額でも2日では用意できない私にとっては、(^_^;)
まるでカネの亡者のように見えるのですが、然に非ず。

その本当の目的は、宏隆くんが徐々に勉強していきますので、
どうぞお楽しみに。
 
12. Posted by taka_kasga   2016年05月09日 18:46
☆太郎冠者さん

犯罪はオンナを追え、政治はカネを追え、
とよく言われるそうです。

気軽にオンナを追って従いて行ったために、
あわや酷い目に遭いそうになったヒトも居ますが、(笑)
カネは政治と結びついているので、
反対からカネを追ったら、犯人が見つかりますね。

私なんか、たとえ行方不明になっても、
追う材料がたくさんあるので、すぐ見つかってしまいそうです。
 
13. Posted by taka_kasga   2016年05月09日 18:46
☆マルコビッチさん

ちょっと厄介なコトですが、
興味を持って調べてみて、自分で理解するのは、
とても大切なことですね。

これは私たちの日常に、人生に、
直接関わってきていることなので、
本当は誰もが、目を背け、耳をふさいでは居られないことのハズです。

頑張っていっしょに勉強しましょう。(^_^)
 
14. Posted by taka_kasga   2016年05月09日 18:48
☆とび猿さん

歴史の授業は、何の時代に何があったか、それは何年だったか、
ということが中心で、「なぜそのようになったか」という肝心なことが抜けていましたね。
それはある目的を持って仕組まれた「アホを作る教育」であり、
戦後の我々は、みんな「記憶力」ばかりを要求されて、
観察力や想像力、審理力や危機感の無いアホになりました。

うーむ、コレではいかんな、と。。。(^_^;)
 
15. Posted by taka_kasga   2016年05月09日 18:48
☆ユーカリさん

日本がどう他国と関わってきたか、
他国はどう日本に関わろうとしてきたか、
それを知ることや、家族とそれを話し合うこと、
特に学校でそれを教わらない子供たちに正しく伝えて行くことは、
とても重要なことだと思います。

誇りに思える日本を取り戻すには、
まず個人々々の自覚と、その個人が集まる家庭からです。
おたがい、頑張って勉強しましょう。
 
16. Posted by taka_kasga   2016年05月09日 18:50
☆たそがれの単身赴任者さん

日露戦争の戦費がどこから出たのかを、
どうして歴史の時間に教えないんでしょうね。
そうすれば、もっと日本人の自覚が出る人が増えるというのに。

欧米列強が日本を支配侵略するために、あの手この手を使って、
今でもガンガンいろいろとやって来ます。
でも、ぼくらは絶対に負けません。

恐ろしい相手ですが、
その根性を、気骨を、太極武藝館で養っているのだと思えば、
どんな敵に対しても、負ける気がしません。

すげー館は、決して後ろを見せません!!
 
17. Posted by ランフォリンクスの尾   2016年05月09日 23:32
7〜8回読み返しているうちにコメントするのが遅くなってしまいました。すみません。
たいした人生経験もない平凡なサラリーマンの私には知らない話ばかりで理解に時間がかかりました。

しかし読み返しているうちに今まで知っていた断片的な知識がつながってきたように思います。
私も宏隆君と一緒に勉強して日本人としての自覚を強く持ちたいと思います。

ロシアが関係する話は興味を惹かれるのですが本格的に説明されるのでしょうか。
今回ちらっと出てきたレーニンも確かアシュケナージのユダヤ人でしたよね。
彼はロシア語のrを巻き舌で発音するのが苦手だったが、それはアシュケナージに特徴的な訛りだ、という話を大昔に聞いたことがあります。

また前回の記事では憧れの春日先生から長文でコメントバックがいただけて嬉しかったです。
ありがとうございました。
指摘いただいた点に関しましては気をつけますので今後ともよろしくお願いいたします。
 
18. Posted by taka_kasga   2016年05月10日 18:53
☆ランフォリンクスの尾さん

>宏隆くんと一緒に勉強して日本人としての自覚を・・

戦後のGHQ支配がもたらした偏向教育は、
日本人が民族の誇りを二度と持てないよう緻密な工夫が為され、
近代史に於いても、彼らの目的に沿って作られた教科書を一方的に学ばされました。
そして殆ど誰も、その内容を疑問に思っていません。

例えば、南京大虐殺や東京裁判については書かれていても、
アメリカが焼夷弾で無差別爆撃をし、僅か数時間で10万人を焼き殺し、
原爆を二つも投下して20万人以上の一般市民を大量虐殺した戦争責任について、
それにきちんと触れた教科書は存在しません。
これは大変異常な事態ですが、日本人は何故それについて疑問に思わないのでしょうか。

>ロシアが関係する話

物語では、日本人が余り知らないユダヤ史と、
日本人に直接関係するユダヤについて織り込んで行こうと思います。
勿論ロシアも関係します。どうぞお楽しみに。

>憧れの春日先生

ははは・・私のような者に憧れる人が居られるとは!!
大変光栄なことですが、自分はそんなに大した人間ではありません。

真の武術を追求・研究して正しく後世に遺さんとする太極武藝館と、
その稽古や活動を公開しているブログを通じたお付き合いで、
同じ道を志す者として互いに学んでいければ、大変嬉しく思います。

今後ともよろしくお願いいたします。
 
19. Posted by タイ爺   2016年05月14日 09:07
コメントが遅くなり申し訳ありません。

これはもう世界情勢が誰に操られているか見えて来た気が・・・。
ソ連が崩壊し赤い国がとてつもない経済力を手に入れ、日本は踏ん張り、アメリカは・・・。
9.11テロなんて予定調和という噂もホラとも思えなくなってまいりました。
私の世界観が根底から覆されています。
 
20. Posted by taka_kasga   2016年06月01日 19:17
☆タイ爺さん

お返事が遅くなり、申し訳ありません。

>911は予定調和

決してホラ話ではありません。
あれはアメリカが仕組んだ狂言であることを、私たちは確認しています。
在る調査によれば、アメリカ人の半数以上がそう考えているという数字もあります。

今度、それについても書きたいと思っていたところです。
 

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