2013年10月15日

連載小説「龍の道」 第120回




第120回  T E R R O R (1)



「何だ、いまの音は──────────────?」

 ビリビリと家鳴りがして、ズンと地の底から響いて来るようなその音に、不穏な状況が迫っていることを誰もが直感した。

 まるで、何かが爆発したような音である。
 宏隆のチームが敵のチームを制圧し、人質を確保して訓練は無事に終わったばかりだが、どの隊員も、もう訓練を振り返る余裕はなかった。

 その音が西から聞こえてきたことも、皆の不安を増した。
 この湾岸訓練場の基地は、神戸の中心から東に十数キロ離れた、住吉浜の埋め立て地にある。つまり、ここから見て西には三宮や南京町があるのだ。

「ガスタンクか、どこかの工場で事故でもあったのかな?」

「ガスタンクなら三宮の手前の、春日野道(かすがのみち)のところだから、ちょうど音のした方角だぞ・・・」

「いや、葺合(ふきあい)のガスタンクが爆発したんだったら、あの程度じゃ済まないだろう。あの音だと、もう少し規模が小さいはずだ」

「まさか、ウチの基地がやられたのじゃないだろうな─────────」

「ば、馬鹿、縁起でもない・・滅多なことを言うなよ!」

「南京町の基地が襲撃されるわけがないさ、まるで潜水艦の中みたいだからな」

「うむ・・だが、嫌な予感がする──────────」

 そんなことを言い合っていて、ふと、皆が沈黙したとき、

「ガーッ!、ガーッ!、ガーッッ!!・・・・・・」

 訓練場にけたたましく警報が鳴り響き、皆がハッとして一斉に身構えた。

「行くぞ───────急げ、そっちのチームもだ!!」

 隊長が、大声で皆に命じた。

「急ぐって、何処へ行くんですか?」

 ここに慣れない宏隆が、横に居た隊員に尋ねたが、

「集合場所に決まってるじゃないか、緊急事態だっ!!」

 暢気そうに聞こえたのか、怒鳴るように答えながら先へ走る。

 侵入訓練の最中に撃たれて斃された隊員も、戦闘服をペイント弾で染めたまま、起き上がって集合場所に向かう。訓練の結果など、誰も気に留めてはいない。

「整列──────っっ!!」

 訓練塔で降下していた隊員たちは、もうすでに隊列を組んで並んでいる。

「Aチーム、集合しました!」

「Bチーム、全員集合っ!」

 戦闘部隊の隊員は、整列時には足を左右に開き、拳を掌に包むように後ろに組み、不動の姿勢を取る。

「気をつけ────────っっ!!」

 気を付けは軍隊から小学生まで、今も昔も万国共通の姿勢である。

「基地司令に、敬礼っ!!」

「よし、楽にして聞け───────────訓練中だったが、たった今入った連絡では、南京町の翔龍菜館で爆音と共に火災が発生したとのことだ。周辺は大変な混乱となっているらしい。
 南京町の方角に黒煙が上がっているのが此処の屋上からも確認されたが、それ以外にまだ詳しいことは分かっていない。ガスや火を使う所だから何かの事故かも知れないが、敵から攻撃を受けた可能性も、無いとは言えない・・」

 基地司令が、静かに言った。

「翔龍菜館が──────────?!」

 隊員たちの間にどよめきが起こり、誰もが顔色を変えた。
 さっき誰かが口にした、嫌な予感が当たってしまったのである。

 神戸南京町の、高級広東料理の老舗として知られる「翔龍菜館」は、瀟洒なテラス席まで備える、店中に緋毛氈を敷き詰めた三階建ての堂々とした構えの店で、神戸っ子が贔屓にするだけではなく、政治家や著名人など、国内外からお忍びでやって来る賓客も多い、南京町きっての中華料理店である。

 そして何よりも、その店には「秘密結社・玄洋會」の地下基地へ通じる秘密の出入口が奧の個室に設えられてあり、当然ながらそこで働く従業員たちも皆、結社の要員であった。

 果たして、彼らは無事だったのか────────誰か関係者が店で会合を開いてなど居なかっただろうか、地下の秘密基地へ繋がる通路は、その混乱で見つけられたりしないのだろうかと、誰もが同じ不安な想いに囚われていた。


「司令、今日は確か─────────────?」

 宏隆のチームの隊長が言った。

「そうだ・・・残念ながらまだそれを確認できていない。これから君たちが出動して、それを含めた状況を詳しく確かめて来るのだ」

「イエッサー!!」

「ちょうど良い。いま訓練をしていたAチームとBチームとで、そのまま現場に向かって貰おう。Aチームは店の外側から、Bチームは基地の内部から、それぞれ状況を探って逐次報告を入れろ。3分間で服を着替え、CCCRにて出動せよ。降下訓練組は、隊長と共に周辺の聞き込みにあたれ。各自、警察と消防には身元を怪しまれたり悟られたりしないよう、十分に注意すること──────────以上だ、何か質問は?」

「基地司令!」

 宗少尉が手を挙げて言った。

「何かね?」

「自分とクラマは別行動を取ります。確認しなくてはならないことがあるので・・」

「うむ、分かっている。そうしてくれ」

「サンキュー・サー!」

「他に質問はないか?・・・よし、行けっ!!」

 普段から訓練を積んでいるだけあって、皆あっという間に走り去って行く。

「翔龍菜館が襲われたって・・・・」

 その場に残った宏隆が、不安そうに言う。

「どうやら、そのようね─────────────」

 さすがに、宗少尉も表情が硬く、顔色がすぐれない。

「僕らは別行動だと言うことですけど、どうしたら良いんですか?」

「着替えて、すぐに南京町に向かうわよ・・・」

「CCCRって、何のことです?」

「The Equipment of Civilian Clothes for Covert Reconnaissance・・・・日本語で言えば、隠密偵察用平服装備かしら。平服の一般人に見えるように心懸けながら、偵察用具や武器を装備している、ということ」

「つまり、士林*(シーリン)の夜市での宗少尉みたいな装備のこと?」
 (註:士林は台北にある夜市で有名な街。「龍の道」第39回〜41回を参照)

「そうね・・・」

「それと、さっき隊長が ”今日は確か・・” って司令に聞いていたのが何故か気になります。司令は、まだそれを確認できていないと答えてましたけど、あれは一体何のことですか?」

「今日、台湾から、張大人が南京町に来られているはずなのよ・・・」

「ええっ!!・・そ、そんなっ──────────────」

「ヒロタカには、後で驚かすつもりで、わざと伝えていなかったのだけれど」

「だから司令や隊長が、あんなに顔色を変えていたんですね」

「それも、ある人と、祥龍菜館で晩餐の食卓を囲んでいるはず・・・」

「え?・・そ、その、ある人というのは・・・?!」

「それは──────────────」

「ま、まさか?・・・師父は、王老師は、今日はどこに居られるんですか?!」

「ヒロタカ、今日は珍しく台湾から張大人が来られるので、王老師も祥龍菜館で会食をされることになっているのよ」

「そ、そんな─────────────────」

「大丈夫よ・・・お二人とも普通の人ではないし、とても強い星のもとに生まれてきた方たちよ。きっと、きっとご無事に違いないわ」

「そ、それじゃ、あの爆発や火災は、張大人と王老師を狙ったテロ・・・」

「残念ながら、その可能性は無いとは言えないわね」

「す、すぐ・・すぐに行きましょう!、早く行って確かめないと!!」

「いいこと?、よく聞きなさい──────────注意しなくてはならないのは、もしこれが敵のテロ行為なら、これから取る私たちの行動はすべて、詳しく観察されているに違いないということ。奴らはそれを元に分析をして、次回はその虚を突いて、さらに私たちが対応し難い攻撃を仕掛けてくるわ」

「だから、ここの隊員たちとは別行動を取ったんですね」

「もう私たちの面は割れているから、行動には細心の注意が必要よ。このうえヒロタカが再び拉致されでもしたら大変でしょ。まあ、あの頃よりは少しは兵士としての実力がついてきているけれど・・・」

「つまり、感情に流されず冷静に、敵の目を意識して隠密に行動し、反対に敵のシッポを捕まえてやる、というような意識が必要だということですね」

「そう、分かってるじゃないの・・それじゃ、行くわよ!!」

「はいっ!!」


 オープンのジャガーでは目立つので、訓練場にある乗用車を使うことにする。
 こんな時には、どこにでもあるような大衆車が一番目立たなくて良い。車の色も日本に最も多いシルバーが選ばれている。日本では、白のボディは商用車に使われることが多い。

 現場に来てみて驚いた─────────────────

 祥龍菜館の前は、消防車やパトカーが何台も停まっていて、消防士が盛んに放水をしている。南京町の周辺は警察官が大勢出て、元町の通りは無論、周囲は広い範囲で通行止めになっている。救急車も停まっていて、救急隊員やオレンジ色の制服を着たレスキューが慌ただしく走り回っているから、負傷者も出たのだろう。
 頭上には、報道のヘリコプターが何機も飛び回っている。

 宏隆と宗少尉は、群がっている野次馬たちに混じって、先ずは外から様子を見る。

「ひどいな、これは・・・・」

 祥龍菜館は2階の窓が吹っ飛んで、テラス席や外の地面にも物が散乱して、部屋から黒い煙が出ている。もう火は見えないが、消防士が放水を続けているところをみると、まだ完全に鎮火していないのかも知れない。
 それ以外の階は、外から見た分には無事に見えた。

「爆発は2階だけのようですね────────────」

「そう、せめてもの救いね・・・裏へ回るわよ」

「ラジャー・・」

 辺りを気にしながら、なるべくお互いの顔を見ないように、小声で話す。
 宗少尉が ”せめてもの救い” と言ったのは、地下の基地に通じる入口が一回の奧に作られてあるからで、その辺りに火災や爆発が発生すれば、すべてが明からさまになってしまうからだ。2階だけの被害は、取りあえずは結社にとって不幸中の幸いと言えた。


 神戸南京町は、三宮駅から歩いて10分、元町駅からは5分の距離にあり、元町商店街の南側に、東西200メートル、南北110メートルほどの範囲に百店舗あまりの店が軒を連ね、横浜や長崎と共に、日本三大中華街のひとつとして知られている。
 南京町の中央の通りは十字路になっており、その十字路が交わる広場には、天井に龍の絵が描かれた、高さ7メートル、直径3メートルの「あづまや」と呼ばれる六角堂があり、それを中心に、南京北路、南京南路、南京東路、南京西路と、四方に路が延びている。
 また、各々の路の入口には、東には長安門、西には西安門、南には南楼門と名付けられた朱塗りの大きな中華門が立つが、何故か北にだけは門が無い。

 祥龍菜館は、中央広場の「あづまや」から北に延びる、南京北路の西側に位置している。元町の商店街にも近く、これほどの爆発や火災に、さぞや周辺には混乱があったことが想像された。

「────────師父や、張大人の無事は、まだ確認できないの?」

 心配そうに、宏隆が訊く。

「まだのようね。無事が確認されたとしても、すぐには報告をしてこないわ」

「どうして?、皆が心配しているのに──────────────」

「万が一、その報告を敵に傍受されたら、すぐに手を打たれてしまうでしょ。お二人が無事でも、安全なところに移動してからでないと連絡は出来ないのよ」

「なるほど、そうか・・・」

「でも大丈夫よ、私はイヤな予感なんか、全然していないわ!」

 宗少尉が明るい顔をして、ニコリと笑って言った。
 自分の不安を打ち消すように、努めてポジティブになろうとしていることは宏隆にも分かっている。そうでもしていなければ、この不安をどうすることも出来ないのだった。

 こんな時、待つことしか出来ない立場はとても辛く、無力さが感じられて、ひどくもどかしいものだ。
 だが、かつて自分が拉致された時に、周りの人たちにどれほど心配をかけたかと思うと、反対にこうして心配する側の立場となってみることは、たとえそれがどれほど辛くとも、自分が経験しなくてはならない人生の勉強のひとつに違いないと、宏隆は思った。

 群がっている野次馬を掻き分けるようにして、二人で裏通りに回っていく。

 宏隆は未だ通信の訓練をしていないので無線器を持たせてもらえないが、宗少尉は、目立たないように無線を腰のポーチに入れ、シャツの内側にコードを通して、イヤホンと胸元の小型マイクで何度も連絡を取り合っている。
 コードやイヤホンはSP(要人警護)や刑事が使う物のように肌色にしてあるから、ちょっと見たところでは全く目立たないし、たとえ気が付いたところで、素人にはラジオ*のイヤホンにしか思えない。

(筆者註:この物語の1970年代初期には携帯電話は無論、まだ初代ウオークマンさえ発売されておらず、あるのは携帯用の小型ラジオくらいのものであった)

 祥龍菜館の裏側は細い路地になっているが、そこの地面にも消防のホースが何本も敷かれていて、何処も彼処(かしこ)も通行止めになっている。
 辺りには制服の警察官がたくさん居て、野次馬に目を光らせている。

「こりゃぁ駄目だ、これじゃとても仕事になりませんね」

「ところで・・・」

 ニコリと微笑んで、宗少尉が何か言いかけたが、

「気付いてますよ、ぼくも──────────────」

 宏隆も、前を見たまま、静かにそう言った。

 この現場に着いた時からずっと、付かず離れず、目立たないように注意しながら、そっと二人のあとを尾(つ)けてくる者が居るのだ。



                               (つづく)




  *次回、連載小説「龍の道」 第121回の掲載は、11月1日(金)の予定です

noriko630 at 23:55コメント(13)連載小説:龍の道 | *第111回 〜 第120回 

コメント一覧

1. Posted by 太郎冠者   2013年10月17日 21:42
きな臭い空気どころか、にわかに激しい展開がはじまってしまいましたね!

動きが出はじめて楽しみ…といきたいところですが、こういったテロは、いつどこで起こるか分からないというのは、普通に生活をしていてもどこかで意識していなければいけないことのように感じます。

今回の場合は、ちゃんと情報をつかんだうえでのプロの犯行、なのだと思いますけど。
プロに喧嘩をふっかける、相手もまたプロであり、相当自信があってのことなのでしょうか。

>隠密偵察用平服装備
どういう装備なのか非常に興味ありますね!
いぜん服を買う時、さすがに上下迷彩で街中はなぁ…と躊躇しまして(笑)
好きなんですけどね。目立ちすぎるかなと思いまして。
「迷彩」のハズなんですが(笑)
 
2. Posted by とび猿   2013年10月18日 11:37
訓練から一転、大変なことになってきました。
張大人と王老師は、どうなってしまったのか・・・ということよりも、
お二人が何を考え、どう行動したのかが気になってしまいます。
そして、宗少尉と宏隆君を尾けてくる者は?

うーん、続きが気になります。
 
3. Posted by マルコビッチ   2013年10月18日 12:17
いきなり本番の緊急事態!!??
読んでいても緊張します。

こういう事が起こる可能性はあり得るわけで、現実にあちこちでテロは起こっている・・と言うことを考えてしまいます。
自分の大事な人が襲われたかも知れない危機!・・たとえそれがどれほど辛くとも、自分が経験しなければならない人生の勉強のひとつに違いない・・・もし私が宏隆君で、師父が襲われたかも知れないという状況だったら、想像しただけでも居ても立ってもいられない気持ちになります。
でも、師父だったらきっとその場にはいらっしゃらないか、容易く脱出していると思うので、きっと張大人も王老師もご無事に違いありません!!
あ〜〜、この先が気になるぅ〜(>_<)ゞ
 
4. Posted by bamboo   2013年10月18日 13:04
こうした事態でもどこか冷静に行動できるあたりに、平時の心構えや訓練の質が表れるのでしょうね。
連休を利用し、神戸に行って参りました。龍の道でご紹介頂いた様々な場所を実際に訪ね歩き、もちろん「幻のビーフカレー」や北野坂の静かな「にしむら珈琲」なども味わって参りました^^
今回の南京町もよくわかりましたが、「祥龍菜館」はさすがに見つからなかったです(笑)

しかし…40年近く前とはいえ、あんなにお洒落で気さく(だった?)な街にも、すでに侵略や自己崩壊が進んでいたなんてとても悲しいですね…。
旅の後にロココ様式のカップが欲しくなったので調べてみたのですが、あの時代の欧州がアジア・アフリカにしたことに愕然としてしまい、買うのを躊躇してしまいました…カップや職人に罪はないのですが…。
 
5. Posted by ユーカリ   2013年10月18日 13:39
とても想像しえなかったこの物凄い展開、そして隊長の迅速かつ細心の注意を払った指令、また、宗少尉・クラマ、隊員たちの機敏で正確な動きに、ドキドキと手に汗を握りました。
全体を把握し、正確に動くことや、感情に流されずにきちんと待てることが、このような事態に限らず、日常でも重要だと感じました。目の前の事に囚われ易い自分を省みます。

さあ、これからの展開、どうなるのでしょう?!
張大人・王老師のご無事を祈ります。
 
6. Posted by まっつ   2013年10月19日 11:18
テロは平時の中の戦争である事を強く喚起させられます。
本来は非日常である戦争が、
日常と隣合わせに存在する不条理は「恐怖」としか表現できません。

この日本では意識し難いですが、
海外の空港等でサブマシンガンで武装した警官を見たりすると、
むしろこの世界の多くの日常とは、
必ずしも安穏とはしていないのだと感じます。

欧米では貴族の趣味として狩猟の伝統があるようですが、
それは単に楽しみとしてのみではなく、
文明化されて牙を抜かれつつある人間が、
忘れられようとしている「世界の半分」を知ろうとする試みにも感じられます。

理屈ではありませんが、
生き物は、真に生きるには「恐怖」を知らねばならないと感じます。
 
7. Posted by 春日敬之   2013年10月23日 17:17
☆太郎冠者さん

「迷彩」はカモフラージュ、つまりその場所の環境に合わせ、眼に見える他の物と区別が付かないように作った模様のことですから、市中ではジーパン、Tシャツ、スニーカー、ビジネスルックが一番の迷彩だというコトになりますね。
研究會の人が稽古に通学するときは、シンボルマーク入りのシャツに、BDUパンツ、戦闘ブーツという出で立ちですから、軍服でもちっとも迷彩(の意味)にはなりません。
空港などでは軍用のジャケットを着ているだけでも、一度通過した金属探知機ゲートを、もう一度ジャケットだけ通させてくれなどと言われますから、良いこと無しです。
 
8. Posted by 春日敬之   2013年10月23日 17:18
☆とび猿さん

そう、高度な武術を追求する者は、常に「何を考え、どう行動するか」が大切ですね。

あ、そんなことはフツーの人でも同じでしたっけ・・・(´エ`;)
 
9. Posted by 春日敬之   2013年10月23日 17:19
☆マルコビッチさん

>でも、師父だったらきっと・・・

師父はその昔、東京の「三菱重工爆破事件」の際に、僅か5分前に現場に居られたそうです。
左翼のテロ組織である「東アジア反日武装戦線」の爆破テロであるこの事件は、死者8人、負傷者376人を出しました。陸上自衛隊によれば、この爆発力は道路破壊用の20ポンド爆弾よりも強力であったとのことですが、幸い師父はタッチの差で難を免れられたわけで、強運としか言いようがありません。
かつて正式弟子のNさんも、オウム真理教の松本サリン事件に巻き込まれた事がありますが、目を少しやられただけで、それ以上の被害はありませんでした。

平和だと思っている世の中は、実はとんでもない危機と常に隣り合わせの、脆くて危険なものだと、つくづく考えさせられます。
 
10. Posted by 春日敬之   2013年10月23日 17:19
☆ bamboo さん

おっ、幻のカレーやにしむら珈琲を味わってこられたんですね!!


>祥龍菜館はさすがに見つからなかったです

あれ、おかしいなぁ・・ちゃんと六角堂から北に行かれましたか?(笑)


>あの時代に欧州がアジア・アフリカにしたことに愕然としてしまい・・

それをきちんと学校で教えず、反対に自国が侵略したことをでっち上げては子供に教えてきた日本の教育は、明らかに何十年か後の無血侵略を意図した、某国の日本侵略計画があるからですね。
何時の時代も、何処の国でも、一般市民には何も知らされることなく、一部の権力者だけが利益と満足を得る構図になります。
けれども、敵わないまでも、必ずそれに敢然と立ち向かう人たちが、少なからず存在しました。
戦後の平和偏向教育と経済安定で骨抜きにされた日本の現代っ子が、イザという時に、果たしてそうするかどうか。。。
 
11. Posted by 春日敬之   2013年10月23日 17:20
☆ユーカリさん

>・・・このような事態に限らず、日常でも重要だと感じました

逆に言えば日常とは、いつも目先のことに囚われ、物事の全体を把握することなく、感情に流されながら、その場限りで適当に行動している、という事になりますね。

モノゴトは、反対側から見てみると、とても分かり易いです。
自己の反対側とは、つまりは他人側からの視点であり、
他人(親族を含めて)はいろいろと利害や思い入れがあって中々本音で話してくれませんから、
結局は、自分で自分を観るしかありません。
太極武藝館では、それを「観照」と呼んでいますね。
観照=自己を第三者として見守ることは、玄門で学ぶ際に非常に重要な意識として、
日頃より正式弟子をはじめ、研究會諸兄にもよく注意されているはずです。
 
12. Posted by 春日敬之   2013年10月23日 17:21
☆まっつさん

>生き物は、真に生きるには「恐怖」を知らねばならないと感じます

『実際に銃で撃たれたり、ナイフで刺された経験の無い君たちに、どれほど ”実戦” の在り方を説いたところで、それを十全に実感して貰えるワケがない。君たちの想う実戦とは、マットの上の格闘技試合か、せいぜいが路上のケンカ程度でしかないからだ────────』

・・とは、常日頃より師父が仰る言葉ですが、
本物のナイフや銃を持ったことさえ無い人に、〇〇拳では、武器を持った暴漢に襲われたらこう対応する、などと教える方が間違っていると思います。
そのように指導できるセンセイは、どんな経験をしてきた人なのでしょうか。

「こう攻撃してきたら、こう対応する」
という、”対処法” でできた武術は、イザという時にどうにもなりません。
「常に自分がどう在るか」を、学問として教えられることのできる武術こそ、
真の武術なのだと、ボクは思います。
唯一それだけが、「恐怖」に対して晴れ晴れと立ち向かって行けることだと思うからです。

武術での「自分の在り方」とは、基本に他なりません。
「基本を歪めること」でしか相手に対処できないのが、最も低級な武術です。
 
13. Posted by 円山玄花   2013年10月25日 15:30
コメントがたいへん遅くなりました。

今回も、前回に引き続き緊迫した空気に包まれていますね。

テロ行為などは、一般人にとっては不意打ちもいいところですよね。
人間がいかに不意の出来事に弱いか、電車やバスに乗っていても、
自分が訓練を受けているときでも、それを目の当たりにしたり体験したりしています。

一般人よりも危機に近い人達、消防士や救急隊員、警察官などは、
緊急事態であっても絶対に慌てふためくようなことはない、という点から見ても、
武術家としての日々の在り方が、垣間見られるような気がします。

「危機」はいつでも突然にやって来るように感じますが、
「意識」の訓練を積み重ねることで、危機に対処するのではなくて、
対応することができるのだと思います。

そのようなことまで含めて勉強させてもらえる「龍の道」は、素晴らしいですね!
不意に起こったテロ行為(仮定)と、宏隆くんと宗少尉に察知された人物・・。
次回も楽しみにしています。
 

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