2010年05月01日

連載小説「龍の道」 第44回




 第44回 訓 練(3)


 銃は単なる殺戮の道具ではない、という陳中尉の言葉は、宏隆も大いに同感できた。

「それが武器というだけで、平和に反すると言う人もいますよね・・・」 

「そのとおりです。世の中には、軍隊を持たないことが真の平和だというような、とんでもない勘違いをする人も居ます。世界がどう動いているかを知らない、というか・・・
 中国のように、日本の防衛予算がほんの少し増えても ”軍国主義” だと言って散々文句を付けておきながら、ちゃっかり中共軍は毎年二ケタの伸び率を示す軍備で世界最強を目指し、それを "平和発展" などと都合の良いことを言う国もありますし・・」

「要は、やはり使う人、使う目的によるのだと・・・・」

「そういうことです。中国の話をするとキリがないですね、ははは・・・
 さて、ブースへ行って、M92を実際に構えてみましょうか」

「ふう、ドキドキするなぁ・・・・」

「本当ですか?・・大武號でライフルを撃って大活躍した人とは、とても思えませんね」

「いえ、僕はこう見えても、ホントは気が小さいんですよ・・」

「あははは・・・誰も信じないでしょうけどね!」

「いや、本当にそうなんですよ・・!!」

「まあ、少なくとも私は信じませんね・・・きっと、宗少尉もね!」

「いや、本当ですってば・・!!」

「はははは・・・・信じませんよ!」

 そう言って笑いながら、射撃ブースに向かう。
 ブースは、二段ほど階段を下がったところに作られている。

 陳中尉が教官用のテーブルにあるボタンを押すと、「ジリリリ・・・・」とベルが鳴って赤い回転灯が回り、射撃ブースに居た三人はすぐに銃を置き、ヘッドセットとゴーグルを外して素早くこちらに駆け寄り、中尉に向かって直立して姿勢を正した。

「皆に紹介しよう・・・こちらは日本から来た、カトウ・ヒロタカさんだ。
 すでに伝えたように、カトウさんは現在日本に居られる王老師に見出されて、陳氏太極拳の真伝を学ぶ訓練に励んでいる。数日前に台湾に入り、張大人に面接して我々の家族の一員となることを認められ、近いうちに入門式と入会式の席が設けられることになっている。
 君たちも家族として、よく面倒を看てあげるようにしてほしい」

 三人に向かって陳中尉がそう言うと、次々に宏隆に寄ってきて握手を求めてくる。

「カトウさん、私は蘇(そ)と言います、よろしくお願いします」

「初めまして、蘇さん・・どうぞヒロタカと呼んで下さい」

「私は丁(てい)です、この度はおめでとうございます。今後は家族としてよろしくお願いいたします」

「丁さん、初めまして。若輩者ですが、どうぞよろしくお願いします」

 しかし、どういうわけか、残った一人が腕を組んで、あらぬ方向を見上げたまま、宏隆に挨拶をしようとしない。

「どうした、強(きょう)?・・ヒロタカに挨拶をせんか!」

 強と呼ばれたその男は、陳中尉にそう言われて、渋々歩み寄ってきて、

「ふん!・・俺は強だ。唐代の鳳州人・強氏の末裔で、祖父は安徽省から台湾に来た。
 つまり、生まれも育ちも生粋の漢民族だ。何を血迷って日本人がこんな場違いなところに居るのかは知らんが、まあ、せいぜいシッポを出さんようにするこったな・・・」

 そう言い放って、宏隆が差し出した手に、握手をしようともしない。

「こらっ、強っ・・何という失礼なことを言う!、ヒロタカは張大人や王老師に認められた人なのだぞ。父君は昔から私たちの組織に協力している実業家だ。
 大体、我々の仕事に日本人も台湾人も漢族も無い。私たちと同じく、義のために生きることを誓って家族になった仲間に向かって、何ということを言う!」

「はは・・苦労知らずの金持ちのお坊ちゃまが、道楽で太極拳を習うってコトか・・・
 いくら張大人が認めても、俺は日本人なんぞ絶対に信用しませんね!」

「お前の好みの問題ではない!、張大人に逆らうつもりか?」

「そうじゃありませんよ、ただ、コイツが中共や北朝鮮のスパイじゃないという保証はないだろうと・・・」

「スパイだと?・・貴様、言って良いことと悪いことの区別もつかんのか!」

 あまりの放言に、さすがに陳中尉も怒りそうになったが、横から蘇と名乗った男が、

「強さん・・そんなことを言うものじゃないよ、ダムだって、鉄道だって、上下水道だって、教育だって、いま在るものの殆どは、日本人が誠意で貢献した故のことで、そのお陰で経済発展や民主化まで成功して、現在の台湾があるんじゃないか・・」

 陳中尉との間に入って、仲間をなだめるように、そう言う。

「ふん!、侵略した土地で好きなことをした挙げ句に、南方進出の基盤をつくる目的で経済整備をしたことまで、恩着せがましく威張るのか!!」

「侵略ではない、日本は清国から割譲されて統治していたという事実を知らんのか?
 もし統治をしたのが西欧諸国だったら、今ごろ台湾はどうなっていたか・・・」

「・・へっ!、欧米列強でも、日本帝国主義でも、どっちだって同じこった!
 日本は台湾を滅茶苦茶にしたんだ。コイツの爺さんだって、総督府でちまちま働く小役人だったと言うじゃないか!!」

「失礼だぞ!・・ヒロタカの祖父、加藤隆興(たかおき)閣下は、乃木将軍や児玉大将とも親交のあった総督府の高官で、台湾に対し公私にわたって多大な貢献をした方だ。小役人などではない。
 それに、滅茶苦茶になったのは、日本が敗戦した後で、大陸から蒋介石が率いる国民党が進駐してからのことではないか。初めは台湾人も歓迎したが、やがてすぐに彼らの本性と腐敗の凄まじさに気付き、台湾の誰もが失望したのだ。

 国民党の軍人は質が悪く、強姦、強盗、殺人を平然と犯す者が多数いて、台湾の治安はあっという間に最悪となり、しかも犯人が罰せられないという異常な事態が永く続いた。
 やがて台湾の国家資材まで中国人官僚によって横領され、上海の国際市場で競売に掛けられ、そのせいで台湾の物価が高騰し、インフレで企業倒産が相次いで失業者が巷に溢れた。
 二・二八の台湾大虐殺事件では、国民党軍が台湾市民への無差別射撃や処刑を続けることに対し、ラジオ局を占拠した台湾人が日本の軍艦マーチを流し、 ”台湾人よ、起ち上がれ” と日本語で放送をくり返していたほどだった。

 日本が統治していた頃は、日本人も台湾人も平和のうちに共存し助け合っていた。
 治安は良く、女性でも安心して夜の街を歩けたし、日本兵は礼儀正しく、多くの市民に尊敬されていた。総督府では台湾に居る日本人を厳しく監督していたし、何よりも日本人の精神性が本質的に高いものだったからだ。
 現に、毎年行われる世論調査でも、日本に大きな親しみを感じるという人が常に90%を超えている。台湾で生まれ育っていながら、そのような歴史や事実を知らないのか!」

「ははは・・・中尉はえらく日本贔屓なんですね、何ともお目出たいこった・・・」

「・・何だと!」

「あの・・これはきっと何かの誤解です。
 よく話し合えば、強さんにも、きっと分かってもらえると思いますが・・・」

 自分のことでその場が険悪になってきたのを見兼ねて、宏隆が言葉を夾むと、

「いいか、よく聞けよ、坊主・・これはゴカイじゃなくて、正しい認識だ。
 きちんと証明されない限り、俺は、お前を仲間だとは思わない!
 信用されたかったら、まず実力を見せて、組織のために働いて見せるこったな。
 命懸けの仕事をして見せたなら、その時は、少しは信じてやってもいいぞ・・!!」

 凄味をきかせるように、宏隆を睨みつけて言う・・・

「強よ・・ヒロタカはまだ若いが、その実力は、お前など遙かに及ばないだろう。
 現に、これほど侮辱されてもチリほども動じない、その精神状態も含めて、な・・・」

「日本贔屓の陳中尉は、えらくコイツを買い被っているようですが、俺は見た目や家柄だけで人を信じたりはしません。そのうち、コイツの化けの皮をひん剥いてやりますよ!
 ・・さて、俺はもう今日の訓練は終わりますよ、課題は全部こなしましたからね!」

 そう言い捨てると、強は足音を荒げて出て行ってしまった。

「ヒロタカ・・・部下の強が、たいへん失礼なことを言って申し訳ない。
 台湾の人間には珍しい反日感情ですが・・・強の祖父は、かつて清国からの割譲に反対する抗日武装運動のリーダー格で、その抵抗がだんだんエスカレートするので、日本軍の武力鎮圧にあって殺されたのです。そのせいで彼の父親も大の日本人嫌いで、小さい頃から反日教育をされてきたらしい。成人してから縁あって張大人に世話になることになり、組織に入ったのですが・・・ともかく、改めてよく注意しておくので、今日のところは大目に見てやって下さい」

「いえ、僕は構いませんが・・強さんにとっては日本人が ”悪” なのでしょう。
 僕は、さっき陳中尉が話されていたような日本が台湾を統治した経緯も、その内容もロクに把握していないので、強さんに反論することも出来ませんが、これを機会によく勉強しようと思います。ただ・・・・」

「ただ・・?」

「・・はい、僕は日本人として、自分と同じ血液を持つ祖先が、人間として非道なことをするとは思えない、と言いたかったのです。
 かつて、日本のほとんどの家庭から軍人が出ています。ということは、小さな島国に住む日本人の多くは軍人の祖先を持つわけであって・・他の民族を侵略して、弾圧して、自国の利益とする為にはどんな悪逆無道も辞さないというような・・・”日本鬼子(悪魔)” などと呼ばれるような、そんな非人間的な血液を、現代に生きている私たち日本人が受け継いでいるとは、とても思えないのです」

「・・そのとおりですよ、日本人は、もっと自分の民族を誇りに思うべきです。
 日本人は平和を好む、温和で礼儀正しい、道徳を重んじる民族です。
 ところが戦後、まるで日本人がそうではなかったかのように隣国から喧伝され、あたかも日本こそがアジアを侵略していった極悪人であったという意識を植え付けるような、自虐史観に基づく教育が、何十年も意図的に続けられているのです・・・
 それは、小さな島国に住む黄色人種に、世界を支配するべき白人をあれほどまでに脅かせた軍事力や国力を二度と持たせないための、戦勝国アメリカが意図した戦後処置と、それに乗じた中国や朝鮮など隣国の敵意なのですが、肝心の日本人がそれに乗せられて安易にそれを受け容れてしまうような風潮があって・・・」

「僕はまだ若くて・・・若すぎて、世界のことがよく分かっていません。もっとよく歴史を勉強します。台湾や、他のアジアの人たちとも、よく話し合ってみたいと思います」

「それが一番ですね、インド、ミャンマー、タイ、インドネシア・・アジア各地の人たちの話を聞いてごらんなさい。インドなどでは、戦後何十年経った今でも、日本人兵士を讃える歌が、世代を超えて若者の間で歌い継がれているのですよ。彼らは西欧諸国の植民地支配に対して、日本と一緒に独立を戦ったのです。広島に原爆が落とされ、敗戦となった時には、彼らも日本兵と同じ心情で、共に涙を流したのです・・・
 日本が統治した時代に生きた台湾の人たちの本音の感想も、ぜひ聞いてみて下さい。日本人が教えられてきたものとはまるで反対のことが返ってきて、きっと胸のつかえが取れて、日本人であることに改めて誇りを持てるはずですよ!!」

「陳中尉・・・ありがとうございます。日本人としての誇りはあっても、強さんからあんな風に言われると、つい滅入ってしまいました・・・」

「よく分かりますよ・・・さて、思わぬ時間を食ってしまいました。もう無礼な隊員の話はやめにして、射撃訓練に入りましょうか」

「はい、お願いします!」

「ヒロタカさん、何か困ったことがあったら、いつでも遠慮なく言って下さい!」

「私で出来ることなら、いつでも、何でも、喜んでお手伝いさせて貰いますよ・・」

 残る二人の隊員も宏隆にそう言って、再び自分のブースに戻って行った。



「さて、それでは先ず、ヒロタカに質問です・・・
 これから行う射撃の訓練で、最も重要なことは、何だと思いますか?」

「はい・・・それは、いかに安全に、効率の良い訓練ができるか、という事だと思います」

「うーん、流石ですね・・・大抵の人は如何に正確に弾丸を的に当てるかとか、素早く弾丸を込めることが可能になることである、などと答えるのですが・・」

「王老師やK先生のご指導を受けていなかったら、僕も同じ事を答えていたと思います」

「そんなヒロタカには今さら言うまでもないのでしょうが、一応、銃を扱うためのルールをお教えしておきましょう」

「よろしくお願いします・・」

「まず第一には、全ての銃は、常に銃弾が装填済みのものとして扱うということです。
 弾丸が装填されていないと思って扱うと、思わぬ事故を招くことになります」

「第二には、いつ如何なる場合でも、自分が破壊したくないものに対しては決して銃を向けない、ということです。訓練場の標的や、倒すべき敵、破壊すべきものだけに銃を向ける、という意識が徹底されなくてはなりません」

「第三には、銃を撃つ直前までは、必ず安全装置をオンにしておくことです。
 安全装置を信頼することは仲間を信頼し、自分を信頼することにも繋がります。
 撃つ直前までは安全装置の表示を必ず黒にしておきます。赤のドットが出ている時は危険信号で、いつでも弾丸が発射されてしまうと思わなくてはなりません。
 しかし、安全装置も絶対ではない、ということを覚えておくべきです。安全装置はあくまでも暴発事故防止のために付けられているもので、弾丸がチェンバー(薬室)に込められている限り、常に誤発砲の危険が伴います。長期に保管する際は弾丸をチェンバーから抜き去り、ハンマー(撃鉄)を下ろしておかなくてはなりません」

「第四には、実際に銃を撃つまでは、決してトリガー(引き金)に指を掛けないことです。 
 これによって誤った標的を撃ってしまうことを防止できます」

「・・・銃を扱うための四つのルールは以上です。これらを決して忘れないことです。
 これらについて、何か質問がありますか・・?」

「どの項目も、なるほど・・と頷けるものばかりです。
 すべてが当たり前の事のようで、誰もが忘れがちな、無意識になりがちなことを、きちんと意識させているのだと思います。自分も常に忘れないよう、充分心掛けます」

「よろしい・・・では次に行きましょう。
 この射撃ブースに入る際には、手前の教官のデスクで自分のIDプレートを貰って、胸に付けます。自分が射撃をする銃と弾丸を選び、そのブースが使用中であることを示すランプを点けて、射撃の訓練に入ります。訓練中は必ずゴーグルとヘッドセットを着用します」

「はい・・」

「ブースの使用中はランプを点け、自分のブース以外では銃を撃たないこと。
 ブースのテーブルと横壁が示す空間の範囲以外では、決して銃を構えず、撃たないこと。
 また、その空間からは、前方の標的に向けてのみ、撃つことです。
 ・・これらも、訓練に際しては、必ず守らなくてはならないルールです」

「・・はい、わかりました」

「それじゃ、実際にやってみましょう。まずはIDプレートから・・・」

 教官デスクに行くと、すでに自分の写真が入ったIDプレートが用意されていた。
 それを胸に付け、さっき選んだベレッタのM92を取りに行き、”9X19 Parabellum” と書かれた箱を持って空いているブースへ行く。テーブルに銃と弾丸の箱を置いて傍らのボタンを押し、そのブースが使用中であることを示すランプを点けた。

「できましたね・・・では、次はいよいよ、銃の持ち方と撃ち方です。
 まず、自分で銃を手に取ってごらんなさい」

 宏隆は、注意深く、銃身を前の標的の方に向けたままで、トリガーに指を掛けずに銃を取り上げた。 ”全ての銃は、常に銃弾が装填済みのものとして扱う” という注意を守ったのである。

「そうです、よく理解しましたね。自分で弾丸の箱を持ってくると、つい装弾されていないと錯覚してしまいます。銃は常に弾丸が装填されているものとして扱うことです。
 ・・これが安全装置です。今はセイフティ・レバーが下がっているから、安全装置が働いていますね。また、ハンマー(撃鉄)を起こした状態で、このようにレバーを下に動かすと、安全にハンマーが収納されるデコッキング機能が付いています」

「大武號でライフルを持った時もそう感じたのですが、銃というのは、思ったより重いものですね・・」

「M92の重量は1kg 弱です。そうやって手のひらに乗せている時と、実際に構えた時とでは重さが違って感じられますし、弾丸をフル装填すると1kg を超えます」

「弾丸は、何発装填できるのですか?」

「15発です。この弾丸の弾頭重量は8グラムですから、薬莢を入れて一発約10グラムぐらい、初速は秒速350mぐらいでしょうか・・・ここを押すと、マガジンが出てきます。
 安全装置やマガジン交換はトイガンでも同じだから、分かりますよね・・」

「・・わぁ、本物は、空のマガジンでも、ズッシリ重いんですね!」

「ははは・・・弾丸は、マガジンの中に、このようにジグザグに二列に入っていきます。このスタイルをダブルカーラム・マガジンと言います。ダブルカーラムは弾倉が大きいのでグリップも大きくなってしまい、あまり手の小さい人には向きません。
 マガジンは、こうしてグリップの底から正しく挿し込み、スライドを引いて放すと、初弾が薬室に装填されます」

「あ・・僕の手には、ちょっと大きすぎますか?」

「ヒロタカなら、まあ、ギリギリでしょうか・・実際に撃ってみれば分かることですが、手の大きさにあった銃を選ぶことは、とても大切なことです」

「オートマチック拳銃は、どれもこのような方式なのでしょうか?」

「そうです、現在のオートマチック銃は全部この方式で、この手順に例外はありません。
 弾丸を撃ち尽くすと、弾倉の上端がここにあるスライド・ストップ・レバーを押し上げ、スライドが後退したまま戻らなくなり、射手に弾切れを知らせてくれるわけです。
 映画などでは、撃っているうちに弾丸が切れてカチカチと虚しく引き金を引くようなシーンがよくありますが、あれはウソ・・・実際には引き金が引けなくなります」

「ははは、やっぱりドラマと現実とは、何もかも違うんですね。
 もうひとつの・・・トリガーのすぐ上にある、この小さなレバーは何ですか?」

「これはディスアッセンブル(分解)レバーと言って、ジャミング(弾薬詰まり)や、銃のメインテナンスの際に、銃を分解するための操作レバーです。
 戦場や自宅などで特別な工具なしに銃を分解してメインテナンスすることをフィールドストリップと言いますが、それは後日改めて訓練することにしましょう」

「ふう・・覚えることがいっぱいありますね・・!」

「自分の生命を守るための道具ですからね・・いつでも、どのような場所でも、自分の責任で整備して、正しく機能するようにしておくことは当然のことです」

「・・はい、よく勉強します」

「さて、いよいよ拳銃の撃ち方ですが・・・
 これから私が見本を示しますので、まずは理屈抜きに、よく見て下さい。
 ヒロタカも、ヘッドセットとゴーグルを着用して・・・」

 そう言うと、陳中尉は太極拳の馬歩のように足を開き、両手でベレッタを持って身体の前に突き出し、15〜6メートルほど先にある小さな標的に向けて、ピタリと構えた。 


                                 (つづく)

taka_kasuga at 20:00コメント(6)連載小説:龍の道 | *第41回 〜 第50回 

コメント一覧

1. Posted by マルコビッチ   2010年05月05日 10:24
いろいろな人が登場してくる「龍の道」ですが、
強さんですか・・・強力ですね!
私は歴史など、全くと言っていい程勉強してこなかったので、
「龍の道」で勉強させて頂いています。
こんな私でも、興味深い話が凝縮されていて、とてもおもしろいです。
私はすぐ”人”というものに目がいってしまうのですが、
強さんも育った環境などによって、武術家としてどう在ったらよいかを
見失っているように思います。
人も武器もその構造を知るということは、とても大事ですね!!
全てはそこから始まるのだなあ・・と感じさせくれる物語です。
 
2. Posted by 円山 玄花   2010年05月05日 22:49
小説「龍の道」を、学生時代に読んでいたらよかったな、といつも思ってしまいます。
そうしたら、もっと早く日本の歴史や戦争の歴史、そして日本国民としての正しい在り方を
考えるきっかけを得ることができ、何故に今の生活があってそれが保たれているのか、
国家や世界の仕組みがどのようであるのかという、根本的な問題に関心を向け、
それを友達同士で議論することもできたと思うのです。

武術家として大成するには、人との関わりや人間の営みという問題を、
避けては通れないと感じています。
今からでも遅くない!・・そう思って勉強に励みたいと思います。

今後も、歴史や武器の話を楽しみにしています。
 
3. Posted by まっつ   2010年05月06日 23:20
銃を扱うための四つのルールですか・・・
ナルホド・・・何れも尤もな心得です。
撃てれば好し、中れば好しでは当然ないのですね。

映画などでは見慣れている銃ですが、
実際に海外の空港でサブマシンガンを手に警備を務める警官の姿を見て、
ドキッとした事が思い起こされます。
冴え冴えとしたガンブルーに容易に人を殺傷できる凶器である事が実感されました。

その銃を扱う事、つまり射撃とは当に武術そのものなのですね。
武術としての射撃術・・・実に興味深いですね!
どーなるんだ次回!(C)
楽しみに待たせて頂きます。
 
4. Posted by 春日敬之   2010年05月07日 17:55
☆マルコビッチさん

>人も武器も、その構造を知るということは、とても大事ですね。

本当にそうですね、どちらも構造あってのものですから。
私の知る限りでは、太極武藝館ほど武術的な「構造」というものを重視し、科学的に説かれているところは、なかなか他に見当たりません。
まして、一般門人の一人である「のら」さんの立場から、站椿や脚(ジャオ)の構造などをあれほど詳細に解説できることは、学習体系の高さあっての故であると思えます。

・・・だから、私たちはもっと稽古して、高度な身体を得なくてはなりませんね(汗)
 
5. Posted by 春日敬之   2010年05月07日 18:02
☆玄花さん

>武術家として大成するには、人との関わりや人間の営みという問題を避けては通れない

そうですね。そしてそれは、たとえ武術家でなくとも、人と生まれたからには誰もが避けて通れないところのものです。
歴史とは、人間の営みがどのようなものであったかを示す、偉大な学習資料です。
わが国がどのように誕生して造られてきたか、現在はどう在るのかを知ることは、自分が生まれ育った家庭環境を知るのと同じことに違いありません。そして諸外国のそれを知り、地球人類のそれを知ることは、更に大きな事を知ることになりますね。

私たちが生きている現代は、一億二千万の国民を代表する首相が今頃になって「沖縄に駐留する米海兵隊の抑止力に気がついた」という発言をしたり、中国海軍が公海上での演習中にヘリを日本の海上自衛艦に異常接近させてきたり、パトロール中のP-3C(哨戒機)にミサイルの照準を合わせて ”ロックオン” するというような、異常な軍事挑発が平然と行われている時代なのです。

つい最近も、大連発・成田行きのエア・チャイナが成田の管制塔と無線交信を行わないまま勝手に着陸しましたが、連休前のせいか、日本では話題にもなりませんでしたし、もちろん国土交通省も全く問題にしません。
平和に慣れきった日本人は「危ないなぁ・・」などと暢気なことを言うのでしょうが、中国の民間航空のパイロットの殆どは有事には輸送部隊の使命を負う空軍上がりの猛者たちであり、危機管理上は「軍事演習」と見るべき悪質な行為に他なりません。

日本人として心して学び、物事を正しく観る目を養うことは急務であると思われます。
 
6. Posted by 春日敬之   2010年05月07日 18:09
☆まっつさん

>射撃とは、当に武術そのものなのですね。

格闘技なんぞを長年やっていると、銃を撃つことイコール武術である、というようなごく当たり前の感覚が中々出てきませんね。
かつてアメリカ人に「何十年も平和ボケの中で過ごしている日本人など、いくら武術をやっても少しも趣味の領域を出るものではないだろうな・・」と痛烈に言われたことがあります。
「武術→自衛→愛する人・家族を守る→民族・国家を守る→国際社会のバランスを取る」というのは彼らにとっては極めて当たり前の図式として語られています。
のんびりフレンドリーなオーストラリア人でも、格闘技仲間が集まると、すぐに天下国家や国際情勢を論じ始めます。武術好きの日本人でも、そんなことは珍しいのではないでしょうか。

武藝館の正式弟子や研究会の人たちは、勿論そんな事はないと信じますが・・・。
 

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